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2021.08.26

「思い切って頼ること」 作家・岸田奈美が語った福祉・介護に本当に必要なこと

水野 勝(BOYS AND MEN)、坂下千里子、福澤 朗、安藤なつ(メイプル超合金)、小宮有紗

身近に障がい者や高齢者がいないから、と福祉・介護に関心をもたないのではなく、誰もが助け合いながら、優しさのバトンを渡していく。その連鎖が、未来のためには必要なのではないだろうかーー。

7月22日(木)、「YouTubeテレ朝チャンネル」にてライブ配信された「GO!GO!KAI-GOプロジェクト」キックオフイベントは、視聴者にとって、自分がどう福祉・介護に携わることができるかを考えるきっかけになったはすだ。




「GO!GO!KAI-GOプロジェクト」は、福祉・介護への多様な人材参入を促進するために、厚生労働省補助事業「令和3年度介護のしごと魅力発信等事業(体験型・参加型イベント)」を活用してテレビ朝日映像が主催する。今後、様々なイベントを実施し、福祉・介護の大切さや未来の可能性を発信していくプロジェクトだ。

今回のキックオフイベントは、次世代のイノベーターにフォーカスし、複雑化する社会での未来像を描くイベント「DEPARTURE 2021 SUMMER U30がつなぐ未来-都市と地方の新しい関係-」とのコラボレーション企画。

イベントにはプロジェクトを盛り上げるべく結成された「応援団」メンバーから、アナウンサーの福澤 朗、タレントの坂下千里子、安藤なつ(メイプル超合金)、水野 勝(BOYS AND MEN)、小宮有紗が参加した。

キックオフイベントの冒頭、介護の最前線で働いた経験がある安藤からは「福祉施設には子どもの頃から遊びに行く感覚で携わってきた。介護はめっちゃ楽しかったです。本来、(福祉・介護は)楽しい場所であるということを伝えていきたい」という意気込みが聞かれ、賑やかな雰囲気でイベントはスタートした。

車椅子の母が口にした「死にたい」の一言が、親子介護のスタート地点


今回はスペシャルゲストとして、「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2020」 受賞者、バリアフリーのグローバルデザインを開発する「ミライロ」創業メンバーで、作家の岸田奈美が登壇。車椅子生活を送る母、ダウン症の弟、高齢の祖母と暮らす経験から、介護のあるべき未来像を語った。

岸田がミライロの創業に携わったのは、大学1年生のとき。福祉・介護業界に飛び込んだのは、高校1年生で経験した母の「大動脈解離」の手術後遺症による車椅子生活がきっかけだった。岸田の前では気丈に振舞う母だったが、ある日こんな弱音を吐いたという。

「母が『歩けないくらいなら死にたい』と口に出したんです」

当時は飲食店もホテルも、車椅子で入店できないところばかりだった。地下鉄から地上に出るまでに30分以上かかったり、歩行者の手や鞄が当たったりと不自由が多く、母は外出するたびに落ち込んでしまっていた。しかし、この一言が、岸田を福祉・介護への道へ導くことになる。


岸田奈美

「最初にその言葉を聞いた時、私は『死んでもいいよ』と答えたんです」

母が手術をした当時、すでに父は亡くなっており、後遺症リスクもある危険な手術をする判断をしたのは岸田だった。その責任感や、「母の気持ちを私が理解してあげないと、追い詰められてしまう」という優しさから、咄嗟にこの言葉が出たという。

「でも、『やっぱり死なないでほしい。私が数年以内になんとかするから!』と続けました。ノープランでしたけど。そのどん底の状態が、親子での介護のスタートでした」

こうして、福祉とビジネスを同時に学べる関西学院大学人間福祉学部社会起業学科に入学。そこで、車椅子生活を送るミライロ代表・垣内俊哉さんと出会うことになった。

「障害(バリア)を価値(バリュー)に」を提言し、障害を取り除くのではなく、価値に変えていく活動を始める。のちに岸田の母も、ミライロの従業員として働くことになる。

「ミライロに入って3年経ち、ようやく母のための仕事を作ることもできました。車椅子生活当事者や家族の大変さがわかる母の視点から、ホテルや結婚式場向けに障がい者の方が来た時のお声がけやサービス研修講師として働いてもらっています」

沖縄旅行で実感した、車椅子でも「できないことはない」


岸田が母に伝えた「なんとかする」という約束の中で、ミライロ創業の他にもう一つ力を入れたことがある。それが、車椅子の母と一緒に様々な場所に行くことだ。

「母は元々沖縄が好きだったのですが、車椅子生活になり、もう絶対行けないと諦めていました。しかし、旅行代理店にダメ元で問い合わせたら、あっさりとプランを組んでくれて。

個人タクシーの貸し切りで様々な場所に連れて行ってもらい、飛行機でも焦らなくて良いように最初に乗って最後に降ろしてくれるなど、たくさんの配慮をしてもらいました。母も『こんなにたくさんの人に助けてもらえるんだ』と前向きになりましたね」

いまできるサービスを使い、自然体で接してくれた気遣いに、岸田は感動したという。これには、福澤も「日本における介護や福祉の理想像かもしれません」と感心。岸田の母は、この沖縄旅行から前向きになり、「できないことはない」と気が付いたという。

日本の福祉・介護には「ハード」よりも「ハート」が足りない


では、これからの日本の福祉・介護の未来を考える上での課題は何か。

「実は、日本は(介護・福祉の)『ハード面』は整備されていて、点字ブロックを開発したのも日本だし、駅のバリアフリーも海外より進んでいる」と岸田。

足りていないのは、人々の「ハート(心構え)」だという。岸田は以前、母と日本の約50年前の路面状況だと言われているミャンマーを訪れた。

車椅子での旅行はハードルが高いはずだが、現地の人が率先して母の案内してくれたおかげで何も不自由を感じなかったという。一方、日本ではそういった経験はまだ多くはないそう。

「日本人は完璧主義。専門知識がないと(福祉・介護に)踏み込んではいけないのではないかと一歩引いてしまう。でも困っている人には今すぐ声かけてほしい。何をすべきかは、困っている人に聞けばいい」


坂下千里子、福澤 朗


坂下も、困った人への声掛けは日常的に行っているという。

「思いやりと優しさを常に人に対して持っている人が素敵だし、自分もそうありたい。私も子どもを生んでから街で障がいを持った方に対して『何かお手伝いすることはありますか』と声掛けはするようにしている。それであっていたんだと安心しました」。

岸田いわく、「大丈夫ですか?」と声掛けをされると、つい「大丈夫です」と答えてしまう。だから「何かできますか?」と聞くことが声掛けのポイントだという。

日常生活で出会う人に助けられている


ここで岸田は、ダウン症の弟との生活も振り返った。弟は、普段から近所のコンビニを通る時に挨拶を欠かさないという。その姿を知っているからこそ、店員と弟の間にはこんなやり取りが行われている。

「弟がそのコンビニに来店すると店員さんから声を掛けてくれて、母が書いたメモを見て商品の場所を案内してくれたり、お金の計算を代わりにしてくれたりもする。

店員さんは知的障害やダウン症の方への対応研修を受けているわけではないのですが、弟の様子を見ながら、これはできる、これは助けが必要というのを判断してくれます」

専門家でなくても、できることはたくさんある。岸田は「むしろ私は日常生活で出会う人にも助けられている」と語った。


小宮有紗

これに対し、小宮も「これまで、福祉・介護に触れる機会が無いと思っていたのですが、それは自分がアンテナを張り巡らせていなかっただけ。もっと周りを見て生活していきたいと思いました」と、頼もしい一言。

障がい者に対し、当たり前に接してくれる人がいかに多くなるかが、共生社会実現のキーとなりそうだ。

福祉・介護のあるべき未来とは


最後に、岸田の考える「あるべき介護の未来像」をフリップで紹介した。そこには『優しさを求めるのも 受け取るのも 優しさ』と綴られていた。

「優しさを提供できる人が増えてほしいと思う一方で、『助けてほしい』ということももっと気軽に言えたらいい」という思いが込められている。この言葉は、認知症の疑いが出始めた祖母との同居から実感したという。


安藤なつ(メイプル超合金)、岸田奈美


「家族のこととなると24時間優しくいられなくて、イラっとしてしまったりする。そういう時にヘルパーさんやデイサービスに助けてもらうことですごく救われました。他人だからこそ他人に優しくできるし、祖母も楽しい思いをして帰宅する。そして余裕ができた私は祖母にも優しくできるし、他人に優しくできる」

この優しさの輪を、岸田は『優しさの外注』と呼ぶ。

「我慢する方が偉いという固定概念は捨てて、思い切って頼ること。ただそれは優しい人がいないと成り立たないことなので、みんながその一人になってほしいと思います」

この話を聞いた安藤も、介護従事者の目線から「家族だからこそ優しく見られないことに悩んでいる人はすごく多いはず。だから本当に頼ってほしい」と強く納得。

水野は自身の性格を振り返りつつ「誰かに甘えること、イコール弱さと思ってしまいがちですが、誰かを頼ることが強さでもあると感じました。ちょっと発想を変えれば色んな人が笑顔になると思う」と、前向きに語った。


水野 勝(BOYS AND MEN)

「GO!GO!KAI-GOプロジェクト」の応援団メンバーたちが実際に介護・福祉の現場に飛び込み、試行錯誤しながら得た発見や感動、仕事のやりがいなどをまとめたBS朝日特番「GO!GO!KAI-GO応援団」も今秋、放映予定。

WEB動画で定期的にレポートする介護事情にも期待してほしい。


【GO!GO!KAI-GOプロジェクトとは】

『GO!GO!KAI-GOプロジェクト』は、福祉・介護への多様な人材参入を促進する為に、厚生労働省補助事業「令和3年度介護のしごと魅力発信等事業(体験型・参加型イベント)」を活用しテレビ朝日映像が主催し発足しました。

年間を通じて様々なイベントを実施し、福祉・介護の大切さや未来の可能性を発信していきます。

さらに、アナウンサー・福澤朗を中心に「福祉・介護の世界で活躍する人々の力になりたい!」と意気込む著名人たちが集い、当プロジェクトを盛り上げるための「応援団」が結成されました。

若手のモデルやアイドルから、お笑い芸人、ママタレントなど幅広い世代のメンバーたちが介護・福祉の現場に飛び込み、試行錯誤しながら大奮闘!

そこで得た発見や感動、仕事のやりがいなどを、BS朝日特番「GO!GO!KAI-GO応援団」(今冬OA予定)や定期配信WEB動画を通じてレポートしていきます。

Promoted by GO!GO!KAI-GOプロジェクト/text by 菱山恵巳子/photographs by 飯田祐介

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