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広大なVISONの敷地内には、陶芸家で造形作家の内田鋼一氏が世界中から探した調理道具を展示する「KATACHI museum」がある。内田氏は萬古焼をテーマとした美術館「BANKO archive design museum」を2015年に四日市市に立ち上げた人でもある。VISONのテーマにもある“食”から導かれ、食に関する道具のためのエリアとして「KATACHI museum」が始まった。

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「通常のミュージアムだと順路があるのですが、ここではそのようなものがありません。また、紀元前のものなど貴重なものはショーケースに入ってるものですが、フィルターを通さずに見て欲しい思いから、そのまま掲示している。当然、触れてもらってはいけないのですが、間近で見てもらうことで様々なものを感じ取ってもらいたいです。

世界各国の食にまつわる道具は、ただの道具ではありません。アート的な観点、彫刻的な観点、美術的な視点で見ると面白いんです」(内田)

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VISONの建物全体もそうだが、ここのミュージアムでは「雨を風景化する」というコンセプトを表現している。土壁でできたミュージアムは、雨樋が用意されていないため直接雨に当たる。すると、次第に朽ちてひび割れていくのだ。しかし、それがこの土地の気候に馴染んだ建物の表情へと変化すると捉える。

「森も緑も不便であるけど、そこを風景化する。この道具と一緒で、できた時が一番美しいというわけではないんです。経年変化があることで、意味合いがでてきたり、愛着がわいたりすると思います」(内田)

地域の「ロングライフデザインアイテム」を


箱モノを作って終わりの地方創生ではなく、ITを活用したサービスの拡充やミュージアムを作って知的好奇心を刺激するなど、VISONの取り組みは様々だ。D&DEPARTMENT、くるみの木、ミナ ペルホネンといった国内屈指の暮らしに寄り添うアイテムを扱うショップもここに参画している。

D&DEPARTMENT MIE by VISONでは、全国からセレクトした生活用品のみならず、三重県で作られる地域のロングライフデザインアイテムを発掘している。伊勢木綿・松阪もめんもその一例だ。

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800点ほどのアイテムのうち6割が三重近郊の作り手のものだという。今後はワークショップや勉強会を開催して、三重のものづくりを広く理解していく。カフェスタンドを併設し、毎朝、スタッフがどら焼きを手焼きしている。材料も粉も型も全て三重のものだ。「KATACHI museum」の内田氏の声かけで、出店となった。

続いて、奈良を拠点に、ていねいな日々の暮らしを提案しているカフェと雑貨の店「くるみの木」だ。今回は、「くるみの木 暮らしの参考室」として展開しており、ミュージアムの機能も有する。

「手仕事の美しさやあたたかさ、自然素材に毎日ふれる健やかさ、用と美を兼ね備えたデザインの使いやすさ、そして、良いものを長く使う大切さ」が体験できる場となっている。くるみの木代表の石村由起子は、出店をこう語る。

文=上沼祐樹 編集=石井節子

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