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2021.08.19

VIPたちを招いた会合で日本人が見たビリオネアたちの共通点とは

ブランソンはネッカー島を気に入り、約2000万円で購入。15年からここでGBBCを開催。


この壮大な構想を技術支援や各国の政策に反映させようとするブランソンは、実際はどういう人物なのか。楢崎に聞くと、「あけっぴろげの陽気なおじいさん」と笑う。

「一週間一緒に過ごしたのですが、最初の洗礼がホテルに到着したとき。彼は仲間たちとプールで遊んでいて、握手を求められました。手を差し出すと、そのまま彼は私をプールの中に引きずり込もうとする(笑)。私も力んで踏み止まろうとしていると彼は諦めました。『お前は片方の手にスマホをもっているからスマホが壊れたら、こんな山のなかで修理もできずに困るだろ』と茶目っ気たっぷりに笑うのです。あとでビル・タイが言うには、実は全員に同じことをやっているそうです」

子どものように無邪気なブランソンと、次に紹介するピーター・ティールは性格が真逆に思えるが、それでも楢崎は共通項を見出している。まずは20年以上前の出会いに話は遡る。


2017年にGBBCの一員、ブロックチェーン技術のビットフューリーがSOMPOと提携。

「当時、スタンフォード大学の近くにある三菱商事のオフィスで、私はスタートアップの発掘を行っていました。そこに訪ねてきたのが、まだ無名だったピーター、イーロン・マスク、リード・ホフマンら青年たちです。アメリカ人はあまり現金を持ち歩かないから友達(pal)と食事の際の割り勘(pay)ができる “ペイパル”を開発していて、自分に提案してきました。ただ、当時の日本は便利なiモードの全盛期。3人の話を聞いても、ピンとこなかったのです。提案を断られて帰っていく彼らの後ろ姿を見て、とんでもなく間違ったことをしたのではないかという何とも言えない複雑な思いがよぎったことを覚えています」

それから20年後、二人は再会する。ペイパルを成功させたティールは04年にソフトウェアプラットフォーム事業を展開する「パランティア・テクノロジーズ」を設立。19年にSOMPOホールディングスとともに日本で同様のプラットフォームとサービスを提供する「パランティア・テクノロジーズ・ジャパン」を設立した。CEOに就任したのが楢崎である。20年前のことを「馬鹿なことをした」と詫びた楢崎に対して、ティールは「大丈夫、間違えたのはキミだけじゃない。100社くらいに説明に行って数え切れないくらい断られたのだから」と笑ったという。
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文=フォーブスジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.083 2021年7月号(2021/5/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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