アフガン制圧のタリバンが世界のSNSで猛威をふるう可能性

Haroon Sabawoon/Anadolu Agency via Getty Images

アフガニスタンの全土を掌握したイスラム主義組織タリバンは、すでに首都カブールや大統領官邸を支配しており、もう間もなく、かつてのアフガニスタン政府が運営していたツイッターやフェイスブックのアカウントを支配下に置くことになる。

ソーシャルメディア企業は、タリバンにこれらの20数個に及ぶアカウントの運営を委ねる可能性を否定していない。そうなれば、彼らはプロパガンダや誤った情報を広めるために最適なツールを手に入れることになり、インターネット上の言論をどう規制すべきか、また誰がそれを決めるべきかという、長く続いてきた議論が再開されることになるだろう。

ツイッター上には、以前から複数のタリバンのアカウントが存在しており、現在もタリバンのスポークスマンであるZabihullah Mujahidが約30万人のフォロワーを抱えている。彼は8月16日に「カブールの状況はコントロールされている」とツイートした。

フェイスブックは、タリバンがアカウントを持つことを禁止しているが、彼らが今後、アフガニスタン政府のアカウントをどう扱うかは、「もう少し時間が経過して、アフガニスタンの状況がはっきりするまでは決められない」という。

アフガニスタン政府のSNSアカウントには、ワシントンのアフガニスタン大使館のFacebookページや、アフガニスタン国防省のツイッターなどが含まれている。これらのアカウントは、全体で100万人以上の登録者を抱えており、将来的にタリバンがSNS上で嘘の情報を流したり、新兵や資金を呼び込む上で役立つことになりそうだ。

ツイッターやフェイスブックはすでに定期的にテロリストのアカウントを削除しており、フェイスブックは、2020年第1四半期に900万件のテロ情報を削除し、ツイッターは、2020年下半期に6万件のアカウントを削除したと述べている。

しかし、ここで厄介な問題となるのが、タリバンが米国務省のテロ組織リストには掲載されていないことだ。ツイッターは2019年に、このリストに基づいて、ハマスとヒズボラ関連のアカウントを削除していたが、タリバンは少なくとも、米国にとっての公式なテロリストではないのだ。

一方で、フェイスブックはすでにタリバンのアカウントを禁止しており、タリバンが掌握したアフガニスタン政府のアカウントに、どのような正当性を与えるかは、もっと不明だ。

しかし、フェイスブックは、彼らがかつて用いていた、「政治家や政治組織などの影響力が巨大すぎるアカウントは、(ルールに反していても)、削除しない」という基準に立ち返る可能性があり、デューク大学のCenter on Science & TechnologyのディレクターであるMatt Peraultも、この考えに賛同している。
次ページ > タリバンの影響力がSNSで拡大

編集=上田裕資

ForbesBrandVoice

人気記事