深圳に本社を置くテンセントの株価は16日に一時、4%以上も下落し、2月のピーク時からの下げ幅を42%に拡大した。中国の国営ラジオ「中央人民広播電台(CNR)」が14日、ゲーム業界が歴史を歪曲していると非難したことを受けて、投資家は週明けからテンセントやゲーム大手NetEaseなどの株式を処分した。テンセントの株価は16日午後の市場でやや値を戻したが、3.5%安で取引終了時刻を迎えた。
CNRは、ウェブサイトに掲載した記事で「ゲーム業界は規律を高め、国の歴史を尊重することを最優先事項とすべきである」と主張し、「歴史を歪めるオンラインゲーム」に対する容赦ない対応を求めている。
CNRは、テンセントやその他のゲーム企業を名指しで非難しなかったものの、中国の国民的英雄で、南宋の武将である岳飛が、降伏したように描かれたモバイルゲームの例を挙げていた。そのゲームでは、岳飛を裏切った宰相の秦輝が、高レベルのキャラクターとして登場するという。
テンセントの広報担当者は、この件に関するコメントを拒否した。同社は今年、音楽配信市場における独占行為で、罰金50万元(約850万円)の支払いと、楽曲の独占配信権を手放すように命じられるなど、当局の締め付けを繰り返し受けている。
さらに8月初めに国営メディアの新華社通信は、同社の主力事業であるオンラインゲームを「精神的アヘン」や「電子ドラッグ」と呼ぶなど、強い口調で非難した。
その後、このような厳しい文言はサイト上から削除されたものの、オンラインゲームに対する批判はまだオンライン上に残っている。さらに、テンセントは6月に、同社の人気ゲームの「王者栄耀(オナー・オブ・キングス」に「不適切なコンテンツ」があったとして訴訟を起こされていた。
テンセントを訴えた公益団体「北京青少年法律援助・研究センター」は、ゲームのストーリーが歴史上の人物を改ざんし、中国の伝統文化を歪曲していると主張していた。同社の広報担当者は、この訴訟についてもコメントに応じていない