何か買い物をするたびに、問答無用で木を植える方法でもあったら……そんな夢のようなアクションを実現するカードが登場した。ロンドンのスタートアップ TreeCardが開発した「木のデビットカード」は、検索するたびに植林される検索エンジンEcosiaのネットワークを通じた、使えば使うほど森の再生ができるデビットカード(Master)だ。
クレジットカードの発行や利用は無料である。販売者が支払う少額の決済手数料からなる収益の8割が、植林事業に使われ、60米ドル(約6000円)ごとに1本の木が植えられる計算だ。Ecosiaは、森林破壊が問題となっているブラジル等、世界中で38の植林プロジェクトを行っており、衛星技術と現地視察で厳格な監視も行っている。同社は2013年から2017年に、1億1000万本以上の植樹を行った。
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カード自体も、サステナブルに調達されたFSC認証の桜の木で作られている。リサイクルが困難な従来のカードとは異なり、プラスチックを使用せず、1本の木から30万枚以上のカードを生産できるため、木の乱伐につながる心配もない。見た目に珍しい木のデビットカードで支払いを済ませるシーンは、スマートでファッショナブルであること請け合いだ。
IDEAS FOR GOODでは、以前に海洋プラスチックで作られたAMEXのクレジットカードを紹介した。木や廃棄プラスチックのカードを生産することで、減らせるプラスチックの原料の量は、全体のプラスチックの消費量と比較して、微々たるものかもしれない。しかし、それらのカードには、エシカル消費の精神が込められている。
TreeCardは、どのような消費でも植樹に直結し、その外見も人々の行動や心がけを変えるきっかけを与えるものになるだろう。
この記事は、2020年11月にリリースされたCircular Economy Hubからの転載です。
(上記の記事はハーチの「IDEAS FOR GOOD」に掲載された記事を転載したものです)
連載:国内外のサーキュラーエコノミー最新動向
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