国連難民局によると、2021年に少なくとも40万人のアフガニスタン人が戦闘によって家を追われ、避難生活を余儀なくされている。
ロイター通信が13日に報じたところによると、米国は駐留米軍の支援にあたっていた人々を対象とした特別移民ビザ(SIV)を取得したアフガニスタン人1200人を避難させており、ワシントンは今後数週間でさらに3500人を避難させることを目指している。米国はさらに、中央アジアやバルカン半島の国々に難民を受け入れるよう密かに説得を行っているという。
米国務省は8月2日、米国の非政府組織や報道機関で働いていた数千人のアフガニスタン人の米国への亡命を許可すると発表したが、彼らが申請を行うためには、まず、タリバンが支配している国境を越えて第三国に入国する必要がある。
一方、カナダの移民相は13日、アフガニスタンからの難民2万人を受け入れると発表した。同国は、人権擁護団体のメンバーや女性、LGBTQの人々など、タリバンから迫害を受ける恐れのある人を優先的に受け入れるという。
ドイツ、デンマーク、ベルギー、オランダ、ギリシャ、オーストリアなどの欧州連合(EU)加盟6カ国は、8月5日にアフガニスタンの亡命希望者の強制送還を停止しないよう求める書簡を欧州委員会に送付していた。その時点で彼らは、「強制送還を停止すれば、誤ったシグナルを送ることになり、さらに多くのアフガニスタン市民がEUを目指すことになる」と述べていた。
しかし、その後の数日で、タリバンが国内の広い範囲を支配するようになると、オランダ、デンマーク、ドイツは一転して強制送還を停止させ、デンマークは12日に同国の軍隊で働いていた45人のアフガン人を受け入れることに同意したと、アルジャジーラは報じている。
ただし、ベルギーやオーストリア、ギリシャの当局者は、「難民は、安全が確保された近隣国で保護されるのが好ましい」と、域内流入を避けたい考えを示している。
一方で、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、フランスは、アフガニスタンへの難民の強制送還を中止したとアルジャジーラは報じている。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2020年末時点でアフガニスタン国内で避難を強いられている人は290万人で、国外で暮らすアフガニスタン難民の数は260万人に達している。
しかし、欧州では、2015年と2016年に250万人以上の難民をシリアやアフガニスタン、イラクから受け入れた結果、反移民の動きが高まっている。米国では、3月にジョー・バイデン大統領が、今年の移民の受け入れ上限を、トランプ前政権が定めた1万5000人に据え置くと発表したが、党内からの強い反発を受けて5月に6万2500人に引き上げるという政治的混乱に直面していた。