同社の真逆に当たるのが、超長距離ジェット機ガルフストリームG650型を増やしているフレックスジェット(Flexjet)だ。同機は1機約7500万ドル(約82億円)で、SF50が25機買える値段だ。
ただ同社は、長距離便と短距離便の両方を必要とする顧客に向けて「アンリミテドアクセス」プログラムも新たに開始した。長距離便には、オンデマンドのチャーター便とジェットカードに相当する往復割引を用意。G650型機は16時間の連続飛行が可能だ。また短距離便ではより小さな航空機にダウングレード可能となり、その場合の差額は追加の時間ではなく現金クレジットで受け取ることができる。
アンリミテドアクセスは米国全土で利用可能だ。同社は先月、6機目のガルフストリームG650型を導入。年内にさらに3機の導入を予定している。
利用する企業の方が業績が良い?
2社の他にも出張者を取り込もうとしている企業は多い。新規株式公開(IPO)を先月行ったウィールズ・アップ(Wheels Up)は6月、カスタマイズ可能なオプションを多数用意した「アップ・フォー・ビジネス」プログラムを開始。同プログラムでは、支払ったデポジットを提携企業であるデルタ航空のフライト利用に使うこともできる。
また、高級サービスで知られるビスタジェット(VistaJet)は昨秋、出張市場を的を絞った初のプログラムを開始した。これには、同社のフライトコーディネーターを会社のオフィスに常駐させたり、メインの機材に問題が生じた場合に使う予備機を用意したりといったプレミアムサービスのオプションが含まれている。
ビスタジェットのキャビン(VistaJet)
ジェットカードを販売し、19市場で自社専用ターミナルを運営している急成長中のプライベートジェット管理会社ジェット・リンクス・アビエーションも、法人向けプログラムを初めて導入した。短期間での予約や、無料Wi-Fiサービスなどが同プログラムの売りだ。
企業の成長のためのプライベートジェット活用には、その有効性を裏付けるデータがある。2019年にS&P500構成銘柄企業を対象に行われた分析では、ビジネスにプライベートジェットを利用する企業の業績はそうでない企業を約70%上回っていた。
また、金融コンサルティング企業ネクサ・アドバイザーズ(Nexa Advisors)がS&P小型株600種の構成銘柄企業を対象に行った調査では、プライベートジェットを使う企業の売上高成長率はプライベートジェットを使用しない企業を約23%上回っていた。