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先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま


単純に「支援金を支払う」のではなく


筆者は、これぞ「広告的機知」だと感じた。ビジネスの世界では、Win-Winの関係を築くべきだとよく語られる。ビジネスはさまざまなステークホルダーで成り立っているが、ビール会社にとってのバーやレストランは、二人三脚で手を取り合って進むべき、重要なパートナーなのだ。

短期的に考えれば、ビール会社として「家飲み需要」へと舵を切る宣伝戦略も考えられただろうが、コロナ禍もロックダウンもいずれは終わる。そうしたときにバーやレストランが衰退してしまっていては、自社の重要な拠点を失うことになる。

そう考えれば、ビール会社が、なんらかの形でバーやレストランを応援しようとするのは、当然と言えば当然のことだ。とはいえ単純に「支援金を支払う」ということは、行政でもないのでなかなかできない。あくまでもビジネスとしての解決策が求められる。

そこで登場したのが、広告的機知だった。広告ビジネスにおけるアイデアは、基本的に「難問」から出発する。売れない、人気がない、若い人が買わない、ライバル商品に順位を奪われたなど、なんらかの難問(課題)があってこそ、広告人のアイデアは力を発揮する。

それは、ものすごくカジュアルな言い方をすれば「抜け道を探す」ことであり、難解な哲学用語にならって言えば「矛盾をアウフヘーベン(止揚)する」ことだ。

この良い意味での「抜け道を探す」能力こそが、広告的機知だと筆者は考えている。長い間、広告のプランニングに関わってきたおかげで、自分自身、どんなに難しい状況でも抜け道を探し、アウフヘーベンするような解決策が見つけられる。そう信じることができるのは、ありがたいことだ。

こうした広告的機知については、なかなか言語化しづらい。それでも今回のハイネケンのシャッター・アドのような具体例を紹介することで、その一端を多くの人にお伝えできると考えている。

連載:先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま
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文=佐藤達郎

ブランディングマーケティング
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