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先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま

「Shutter Ads(シャッター・アド)」の動画より

社会をあげてのコロナ禍との闘いは、かれこれ1年以上続いている。特に大きな影響を受けているのが飲食店で、日本でもずいぶんと長い期間、複数の地域で時短営業と酒類提供停止が要請され、多くの店が疲弊し、困窮にさらされている。

一方、ヨーロッパのいくつかの都市では、より厳格なロックダウン(都市封鎖)が行われた。多くの飲食店が閉店に追い込まれ、店のシャッターが降ろされた。

こうした状況下、ブエノスアイレス、バルセロナ、マドリード、ミラノ、ベルリン、ハンブルグなど、世界の各都市でビール会社のハイネケンが行った広告施策がある。「Shutter Ads(シャッター・アド)」と呼ばれるものだ。

この施策は、世界の広告・マーケティング業界で、飛び抜けて大きな影響力を持つ賞である「カンヌライオンズ2021」のアウトドア部門でグランプリを受賞している。

閉ざされたシャッターを広告媒体に


シャッター・アドの発想は、いたってシンプルだ。コロナ禍のロックダウンにより、シャッターを閉めてクローズを余儀なくされたバーを応援しようと、ハイネケンが通常の屋外広告を取りやめ、その宣伝費を使って、多くのクローズされた店のシャッターに広告を載せ、その掲載料を店側に支払った。

シャッターに描かれた広告には、ハイネケンからのメッセージとして、例えば「今日この広告を見て、明日このバーで楽しもう」といったコピーが書かれている。つまり、ロックダウンで閉められた数多くの店のシャッターを「インディペンデントなメディアネットワーク」に仕立て上げ、店が次にオープンするための糧にしたわけだ。


Cannes Lions 2021 - Shutter Ads Heineken

世界で5000店以上のバーでこのシャッター・アドが行われ、計750万ユーロ(約10億円)が各店にダイレクトで支払われた。もちろん、この施策がメディアに取り上げられて話題になることにより、通常の屋外広告の4割増しの宣伝価値をもたらしたという。

文=佐藤達郎

ブランディングマーケティング
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