「トラベルポートランド」のウェブサイトによると、パウエルズの延床面積は6300平方メートル。3500カテゴリー、100万冊以上の本を扱っているという。
本好きとしてはいつか行ってみたい。そう思っていた筆者は2014年、パウエルズを訪問する機会に恵まれた。
1ブロックすべてが書店
到着してまず驚いたのが、その規模だ。ダウンタウンのほぼ1ブロックすべてが書店である。看板には「パウエルズ・ブックス」「中古本&新刊」と書かれている。店内には4メートル近い高さの書棚が並び、本はカテゴリー別に丁寧に陳列されている。看板に書かれていた通り、中古本のコーナーも目にした。トートバックをはじめとしたオリジナル商品コーナーも充実している。ゆっくりと空間を堪能したかったが、何気なく立ち寄った建築と料理のコーナーだけで時間を食ってしまい、最後は駆け足で見て回った。
パウエルズ・シティー・オブ・ブックスの店内。本は3500カテゴリーに分類されているという=2014年
店内で目立ったのが、地元民と思われる客の姿だ。脚立を使って高い位置の本を物色したり、カフェでゆっくりページをめくったりしている。皆リラックスした表情なのが印象的で、パウエルズが生活の一部であることを思わせる。
「本の迷宮」を連想させる香水
そんなパウエルズが「書店の香り」のする香水を発売したらしい──。この情報を耳にした時は驚いた。新型コロナウイルスの感染拡大によって一時的に店を閉めた書店があることを受けて、開発したのだという。
パウエルズ・シティー・オブ・ブックスのウェブサイトトップページ(ウェブサイトより)
パウエルズのウェブサイトの商品ページによると、香水は「ウッド」「バイオレット」そして「古い本」の香りがするという。また、「本の迷宮」「秘密の図書館」「古代の巻物」「哲学者の王が飲むコニャック」を連想させるとも書かれている。香水の価格は24.99ドル(2021年8月10日時点で約2757円)。1オンスのガラス瓶に入っており、瓶が収められている箱は赤いハードカバーの本を模している。箱のまま本棚に置ける仕様のようだ。
このニュース報じたCNNの記事の中で、パウエルズの広報担当者はこうコメントしている。「書店を懐かしがっている本好きに書店を思い出してもらえるような、元気づけるものを与えたい」
パウエルズは独立系書店だ。コメントからは、パウエルズと同じようにネット書店やパンデミックの脅威にさらされている、地元民に愛される独立系書店を応援しようという思いが伝わってくる。