このような状況を受けて、大物投資家たちが、中国への投資に慎重な姿勢を示している。アーク・インベストメントを率いるキャシー・ウッドは先月からテンセントや不動産サイトのKEホールディングスの株式を売却していたが、8月10日、中国株のバリュエーションについて、「急速な回復は見込めず、一段の下落の可能性もある」と指摘した。
中国のスタートアップの支援者で、ビジョンファンドを運営するソフトバンクグループの孫正義CEOも現在、中国への投資を控えている。「中国では新しいルールや新しい規制が実施され始めている。物事が落ち着くまで様子を見たい」と、彼は10日の業績発表で話した。
孫は、アリババに初期から投資を行ったことで有名で、今年6月時点のソフトバンクグループの純資産価値2390億ドルのうち、39%がアリババの株式だった。しかし、アリババの株価は2月のピーク時から約3分の1に暴落し、4月に同社は独占禁止法違反の罰金として過去最高額の28億ドル(約3100億円)を科せられていた。
一方、ソフトバンクが数十億ドル相当の株式を保有するライドシェア大手「滴滴出行(ディディグローバル)」は、中国政府からサイバーセキュリティの調査を受けており、同社の株価は6月末のIPO価格を40%近く下回っている。
アナリストは、中国のテクノロジー企業の株価はさらなる下降圧力にさらされていると指摘する。背景には、政府がこの分野の規制をさらに強化し、データのセキュリティを重視し、すべての分野に平等な機会を与えようとしていることが挙げられる。
北京の調査会社PlenumのFeng Chuchengは、「中国のテクノロジー企業に対する規制は、数カ月で消えるようなものではない」と語る。
Fengは、2012年に始まった中国の反腐敗キャンペーンが、一時的なもので終わらず、9年目に突入していることを例に挙げた。中国の家庭教師業界に対する取り締まりも、予想以上にひどい状態だ。政府は、親の経済的負担を軽減し、少子化を改善するために、7月に家庭教師会社に非営利化を命じ、新たな資金調達を禁止した。
投資家たちを悩ませているのは、「次はどの業界が政府のターゲットになるのか?」という問題だ。