孫正義も警戒する「対中投資」の重大リスク、さらなる株価下落も

ソフトバンクグループCEO 孫正義(Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images)


AIやクラウドも規制強化の可能性


その答えは1つではなく、複数の分野になりそうだ。中国国務院は11日の声明で、国家の安全保障やイノベーション、独占禁止を含む分野での法整備に積極的に取り組むと表明した。さらに、AI(人工知能)やクラウドコンピューティング、インターネット金融などの分野に導入する、新たな法律の研究を行うと宣言した。

香港のAmple Capitalのアセットマネジメント担当のAlex Wongは、中国政府によるデータの収集と使用に対する規制の強化は、とりわけ大きな打撃につながると指摘する。アリババやテンセントのようなテクノロジー大手は、顧客のニーズに合わせた広告や位置情報サービスを収益源としており、新たな規制が障害となるからだ。

「政府はデータの収集と利用をターゲットにしており、これは非常に重要な価値の破壊となる。人々は、これらの企業の株式に再びプレミアムを支払うことを望まないだろう」と、Wongは話した。

このような状況下で、歴史的な低水準にある中国のテクノロジー銘柄に投資を行うことは賢明ではないだろう。

香港のKaiyuan Capitalの投資責任者のBrock Silversは、「中国の投資ストーリーは、法規制の安定性が達成されるまでの間、これまでよりもずっと魅力に欠けたものになりそうだ」と語る。「仮に今日、規制強化の動きがやんだとしても、最近の動きは中国市場の重大なリスクを浮き彫りにした」とSilversは述べた。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事