コロナ禍で広がる50代の転職、転職活動のポイントは?

なぜ今、50代の人材が求められるのか? / Getty Images


「W介護」の必要に迫られフルリモート環境に転職


2020年5月から、音声解析AI電話などを手がけるスタートアップRevComm(レブコム)のセールスチームで働く三橋大二郎(51歳)もその一人だ。当時89歳の母と88歳の父(現在は他界)のW介護をしながらの出社に限界を感じ、フルリモート・フルフレックスで働くことのできる環境を求めて転職した。

「入社から一年以上経ちますが、一度もオフィスに行ったことがないんです」と三橋。「ガス台の火は消えているか」「買い物からなかなか帰ってこないが大丈夫か」などと同居する家族のことを気にかけながら、オンライン商談をこなす日々だ。

鈴木悠介CFOは採用の理由について「採用のメインターゲットは20〜30代とはなりますが、何か光るものを持った方であれば年齢関係なく採用させていただいています」と話す。若手に比べれば50代のハードルは高いが、三橋の場合は前職のSaaSスタートアップでの経験などが武器になった。

レブコムは、社員全体平均年齢が33.2歳と若く、40代後半以上の社員は全社員100人中4人にとどまる。だからこそ彼らには役職に関係なく、裏方としてチームを支える役割も期待しているという。スタートアップはチームをマネジメントできる時間がどうしても限られてしまう。そういった環境下でのチームビルディングにはメンバー同士の見えにくいサポ―トが重要となることから、これらの貢献に対する評価軸も独自に作成している。

「三橋は豊富な経験を生かして、若手が先走って転ばないように柔らかく助言したり、不満をうまく発散したりしてくれています。スタートアップはコミュニケーションにかけられる工数が限られていることもあり、彼のような役割の人材が一人いるだけで大変助かります」と評価する。三橋も「姪っ子、甥っ子に色々と言われて立ち回るような感覚ですね。ついついやってあげたくなるというか……」と話す。

「50代でスキルを持っており、かつ世の中に貢献したいという想いを持っていながらも家庭のご事情などによりフルタイムで出社しづらい方はたくさんいらっしゃると思います。そうした“機会さえあればまだまだ世の中に貢献できる優秀な人材”に働く機会を与えられるような企業でありたいですね」と鈴木。
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文=田中友梨

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