米国医師会雑誌(JAMA)の「JAMAヘルス・フォーラム」で発表された研究結果によると、メンタルヘルスまたは薬物使用の問題でかかりつけ医とメンタルヘルスクリニックで診察を受けている人のそれぞれ83%、92%が、銃の所有に関する質問に答えることに同意していた。
ワシントン州で4年間にわたって行われ、約12万9000人から回答を得たこの調査では、協力した患者のうち、かかりつけ医では21%、メンタルヘルスクリニックでは15%の人が、自宅に銃を保管していることを明らかにした。銃を所有している人が多かったのは、地方部に住む人と、男性だった。
この研究結果について、論文の筆頭著者であるカイザー・パーマネンテ・ワシントン健康研究所のジュリア・リチャーズ医師は、医療従事者が患者たちに銃の所有について尋ねることが、「命を救うことにつながる可能性がある」との見方を示している。
米国では、自殺は10番目に多い死因となっている。2019年の自殺未遂の発生件数は、およそ140万。実際に自殺した人は、約4万7500人だった。自殺の試みに銃が使われれば、未遂に終わることはほとんどない。アメリカ自殺学会の推計によると、85~95%が実際に命を落としている。
また、米国立精神衛生研究所の調査では、2019年に自殺した人は、ほぼ半数(約2万4000人)が銃を使用していた。米疾病対策センター(CDC)のデータでは、銃が原因で死亡した人のうち、10人に6人が自殺者だったことが示されている。
医師への信頼度は低い?
ジャーナル「プリベンティブ・メディシン」に今年2月に発表された研究結果によると、銃を所有している人がその安全性の維持に関して助言してくれる人として、「最も信頼しない」相手に挙げたのは、医療従事者だった。
だが、ブラウン大学のミーガン・ラニー准教授(緊急医学)はフォーブスに対して同月、「それでも臨床医は、患者が銃によって死亡することを防ぐための努力をやめるべきではない」と語っている。
医師その他の医療従事者は、家庭内暴力や薬物乱用のリスクがある患者に対してそうするのと同様に、銃の所有について不安が感じられる患者についても、外部の支援団体を紹介するなどの対応を取るべきだという。
パンデミックで自殺が減少か
一方、JAMAには今年4月、新型コロナウイルスのパンデミックにより増加することが懸念されていた自殺者数が、2020年には前年比5.6%減少していたことを示すCDCのデータが掲載された。
減少した理由は、今のところまだ明らかにされていない。だが、メンタルヘルスについてよりオープンに話し合う傾向が強まったことが、影響している可能性もあると指摘されている。