世界感情調査が示す、幸福感の低下と2020年という最大のストレス

JGI / Jamie Grill / Getty Images

世論調査大手のギャラップは、世界の「気分」の状況を見極めるべく、「グローバル・エモーションズ・リポート(世界感情報告書)」をまとめた。この調査は、2020年から2021年はじめにかけて、116カ国の16万人を対象に実施された。

調査結果から明らかになったのは、「2020年には、ギャラップのグローバル調査がこれまで実施されたどの時点にもまして、ストレス、悲しみ、怒り、不安」を感じる人が多かったことだ。ギャラップによれば、その大きな要因は世界規模のパンデミックだが、それだけが原因ではないという。ここ10年で、幸福感は一貫して下降傾向にある。

調査の要点を以下にまとめた:

・成人の10人に4人は、不安(40%)もしくはストレス(40%)を感じていたと回答した。
・10人に3人弱が、身体的な苦痛を経験した(29%)。
・およそ4人に1人が、悲しみ(27%)もしくは怒り(24%)を経験した。
・調査報告書では、2020年は「近年の歴史を通じて、もっともストレスの大きい年だったことが明らかになった」と結論づけられている。
・2020年に、それ以前の年と比べて大幅にストレスが増大した人は1億9000万人近くにのぼった。
・2020年には、世界は過去15年のどの時点にもまして、悲しみ、怒り、不安、ストレスに満ちた場所になった。

この結果はそれほど意外ではないだろう。米国は世界の他の国々と同様、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行との闘いを余儀なくされた。自宅から出るなと言われ、膨大な数の人が職を失い、有名企業が破産保護申請を行い、家族経営の小規模店は閉店に追い込まれた。

小規模企業は、給与保護プログラム(PPP)でも、いいようにあしらわれてしまった。本来の対象であった中小企業が、どうしても必要な資金援助を申請するという適正なチャンスを得るよりも先に、大企業が申請して、資金の大部分を手に入れてしまったからだ。

政治の影響は、生活のあらゆる面に充満した。マスメディアは、破滅と陰鬱と恐怖を次々とばらまいた。ケーブルテレビのニュース番組や新聞は、視聴率や広告収入を稼いだが、国を分断し、怒りを煽り、人々を対立させた。

ジョージ・フロイドが警官に殺害された事件は、痛みと苦しみを引き起こした。平和的なデモに乗じて悪人たちが悪事をはたらき、街が焼かれ、店が略奪された。カオスと暴力が無秩序に入り乱れる様子を、私たちは目の当たりにした。そうした前例のない出来事に対して、政治家たちは悲惨なほど無策に見えた。そして、権利章典(憲法中の人権保障規定)などおかまいなしに国民の自由を奪っているような印象を与えた。

保健機関は、善意からではあるものの、矛盾しているように見える布告を出し、それが政府当局に対する不信の増大につながった。リーダーに対する信頼も損なわれた。
次ページ > 米国民の大多数が苦しみにあえいだ一方で…

翻訳=梅田智世/ガリレオ

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事