ビジネス

2021.08.13

「サイエンス起業家」が創るSF的な未来

Guido Mieth / Getty Images


それに加えて、ダイバーシティ(多様性)が高まることも期待できるかもしれない。インターネットが主戦場である現在のスタートアップシーンは、まだ男性起業家の数が圧倒的に多く、女性や性的マイノリティ(LGBTQ)が活躍するのが容易ではない。まだまだ足りないものの、ハードサイエンスでは女性研究者も活躍しており、生命科学や医療など、女性の視点が不可欠な分野もある。

冒頭のインディバイオのデモ・デイにも多くの女性が登場する。ヘア・エクステンションメーカーの「Aja Labs(アジャ・ラブズ)」が好例だ。地球にも体にも優しい安全なエクステというのは、女性だからこそ出てきた発想かもしれない。しかし、その恩恵に男女等しくあずかることになる。こうした分野でのスタートアップの創出が楔(くさび)となって、スタートアップ・エコシステム全体を刷新していく可能性もある。

ハードサイエンスに関わる人材の多くは、その能力と知見の高さの割に十分にポテンシャルが生かされてこなかった。だが、そのポテンシャルを引き出す環境が徐々に整いつつある。舞台も役者もそろったのだ。


早稲田大学ビジネススクールの牧兼充准教授をナビゲーターに、ハードサイエンス領域を含めた日本のスタートアップ・エコシステムの発展に寄与している起業家や投資家、サイエンティスト、アクセラレータ、行政、アカデミアの関係者の取り組みを紹介する「日本版スタートアップ・エコシステム」の連載が始まります。

国内外のスタートアップと大企業間のシナジー創出を目指すSOZOベンチャーズのフィル・ウィッカム氏や、山形県鶴岡市に文字どおりゼロからスタートアップ・エコシステムを立ち上げた慶應義塾大学先端生命科学研究所(IAB)の冨田勝所長、米アクセラレータ「TechStars(テックスターズ)」のマエル・ガヴィCEOなど、それぞれの視点から語られる「日本版スタートアップ・エコシステム」が秘める可能性、そして課題とは。どうかご期待ください。

文=井関庸介 写真=ラミン・ラヒミアン(ZBiotics)/ 能仁広之(WBS牧兼充)

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