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フォーブス ジャパン編集部のキュレーター兼編集者


同イベントを主催したのは、2012年に創業された合成生物学ネットワーク・アクセラレータ「SynBioBeta(シンバイオベータ)」だ。同社は黎明期から「Synthetic Biology(合成生物学)」に関連するスタートアップや大企業、投資家、行政などを結びつけることを目的にこのイベントを開いてきた。“人工のクモの糸”で衣類を製造したり、キノコを培養して梱包素材やベーコンを作ったり、絶滅した花の香りを再現したり……。バイオ医薬品の製造といった医療分野の発展はもちろん、映画『ジュラシック・パーク』を思わせるSF的な未来が少しずつ形になろうとしている。

シュミット、コラー、チャーチの3人がいみじくも象徴するように、インターネットとクラウド、AI、生物学の成熟が合成生物学という領域の成長を加速させたのだ。合成生物学の始祖とも呼べる、2009年創業の「Ginkgo Bioworks(ギンコ・バイオワークス)」はDNAのデータ分析とロボット工学を駆使して、栄養プロテインから腸内フローラを用いた治療薬の開発まで幅広く携わっている。同社の共同創業者兼CEOのジェイソン・ケリーは、「食品、住宅、素材、電子機器──。すべてが生物学による創造的破壊を経験することになる」と、米Forbesの取材に答えている。


「Ginkgo Bioworks(ギンコ・バイオワークス)」の研究所内

このように、人工肉からバイオ製薬まで合成生物学は多岐にわたる。では、合成生物学とはどのように定義できるのだろうか? シンバイオベータの創業者ジョン・カンバーズはForbes JAPANの取材に対して、「特定のテクノロジーに依拠する会社というよりも、生物工学を使ってさまざまな社会課題を解決するムーブメントに近い」と、説明する。

「明るい未来を信じ、その実現に生物学が大きな役割を果たす、そして社会の諸問題をエコシステム(生態系)から変えていくことを使命と考えている企業であれば、『合成生物学企業』に該当する、といって差し支えないでしょう」

これらの新興企業が台頭している大きな要因に、まずはクラウドコンピューティングとAIの技術的基盤が整備されてきた点が挙げられる。これにより、DNA解析・合成のコストが下がり、それが実験コストの低下につながり、起業しやすくなったのだ。

文=井関庸介 写真=ラミン・ラヒミアン(ZBiotics)/ 能仁広之(WBS牧兼充)

バイオテック起業家

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