しかし、スウェーデンにも課題がある。その時々の地方議会の政権や政治的決断によって、有機食材がないがしろにされることがあるというのだ。
これまで、各自治体が定めるサステナブル食推進という政策の枠組みの中に、「オーガニック認証」「国産+オーガニック」「国産」「気候フレンドリー食」「ローカル」「エシカル」「食品ロス削減」などのトピックが選択され推進されてきた。この枠組みの中で「オーガニックでなくてもサステナブル」という文脈が容易にできてしまい、有機推進の阻害要因となってきたという。
これに対し、エコフードセンターでは、有機食品と他のサステナブル食品がもたらすベネフィットの違いを明確化し、サステナブル食の推進にオーガニックを含めることが必要不可欠であることを政治家に訴えてきた。例えば、国産やローカルフードは必ずしも生物多様性の保護につながるとは限らないが、オーガニックなら可能だという具合だ。
ストックホルムの学校の食堂にて(2020年5月撮影、Getty Images)
スウェーデンの幼稚園、学校、病院、老人ホームでは毎日数百万食が提供され、100%税金で賄われている。公共調達のオーガニック化が進むことは、国全体のオーガニック食消費量を継続して大幅に増やすこととなる。これが国民の健康を守り、地球環境問題の解決を促し、地域生産者・国内企業の売上の安定化に繋がる。
「オーガニック食品は健康面のメリットだけではなく、環境、社会、経済にとっても多様なメリットをもたらします。こういった幅広い利益を、政治家だけではなく、公的機関の食にあやかる人やその食事を提供する関係者にも広く伝えていくことが全てのベースにあります」とフレーマン氏は語った。