世界トップはスウェーデン 公的機関でオーガニック食品39%の秘密

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「公共部門オーガニック化の成否は、関わる人々に適正な情報、ツール、インセンティブが与えられるかどうかにかかっている」とフレーマン氏はいう。

エコフードセンターでは、1999年以来毎年、公共調達における有機率などの統計データを全国の自治体から収集してきた。調査結果はレポートとして各自治体に通達され、有機比率が30%を超えた全自治体と議会に対して毎年表彰を行っている。


2017年の有機食品リーグに参加した自治体関係者らとスウェーデン環境大臣 写真提供:Ekomatcentrum

「Organic Food League(有機食品リーグ)」と呼ばれる表彰式では、毎年司会やゲストとして著名人が参加し、メディアでも大々的に取り上げられる。過去には、スウェーデン環境大臣やTV番組に登場するような有名シェフなどから表彰を受けるなど、自治体にインセンティブを与え続ける仕組みがあるという。

また、国内で有名な民間有機認証団体KRAVが作ったレストラン認証制度もよく機能している。「この有機認証を取得したレストランのうち75%は公的機関のキッチンです。関係者らは、このオーガニックレストラン認証を手放したくない一心で日々努力しています」とフレーマン氏は説明する。


スウェーデン民間認証団体KRAVのレストラン認証マーク。左からオーガニック比率25%、50%、90%の印。ロゴ提供:KRAV

現場で働く栄養士やキッチンスタッフに対しても、そもそもオーガニックが何を意味するのか、なぜ有機食材を調達し提供すべきなのかといったオーガニックが持つベネフィットに対する教育が行われている。フレーマン氏は、「献立作りや食材購買に関わるキッチンスタッフには特に教育が肝心です」という。

そのために必要なツールもきちんと提供されている。例えば、エコフードセンターが作成した『エコメニュー』と呼ばれる無料サイト内では、オーガニック食材を使った献立バンクとその検索、献立の栄養価計算、1週間分献立表の作成、既存献立の有機化などが簡単にできるという。

さらに、食品ロスを減らすため、多くの学校ではブッフェスタイルが主流だった学校給食の配給システムを廃止。「どのように配給するかだけではなく、消費する人に対しても、なぜ食品ロスを減らす努力をするのが大事なのかを理解してもらっています」とフレーマン氏は語る。学校によっては、毎日の食べ残しの量を数値で見える化したり、クラス間でコンテストを行うなどの仕組みが取り入れられているという。
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文=レムケなつこ

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