世界トップはスウェーデン 公的機関でオーガニック食品39%の秘密

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現在、世界中で「公共調達」のオーガニック化が進んでいる。ここでいう公共調達というのは、幼稚園、学校、病院、老人ホームなどの公共機関で提供される食品のことだ。日本でも昨今、有機給食の署名運動が各地で行われ、学校給食にオーガニックの米や野菜などを取り入れる動きが全国に広がっている。

公共セクターで有機化が世界で最も進むのは、スウェーデンだ。2019年、公共部門が調達する食材全体の39%がオーガニックという驚異的な数値を出した。オーガニック公共調達の成功国として欧州でよく例に出るデンマークでも22%、オーガニック公共調達の法制化でマスコミに頻繁に取り上げられてきたフランスでも3%と、スウェーデンとの開きは歴然だ。


北欧諸国比較:公共調達における有機食材比率(2019)、左からスウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェー 図提供:Ekomatcentrum

学校や病院などでこれだけオーガニック食品が普及した理由は何か。有機食品をスウェーデン全国に広めた中心的組織Ekomatcentrum(エコフードセンター)の元代表エファ・フレーマン氏に聞いた。

全国有機化の立役者“エコフードセンター”


NGO団体であるエコフードセンターは、1997年の創業以来、生産者、卸売・小売業者、加工製造業者、外食産業、消費者など約250団体・個人を会員として抱え、オーガニックの輪を広げるネットワークづくりに注力している。運営資金は会費、公的助成金、その他商業活動で集めたもので、その額は年間約400万SEK(約5000万円)になるという。

エコフードセンターは創業初期から、国家政策に影響を与えるロビー活動を行うとともに、国民へのオーガニックに関する知識の普及に努めてきた。

元代表で、現在シニアアドバイザーを務める共同創業者のフレーマン氏は、「スウェーデンでは、2030年までに公共調達の60%を有機食材とする国家目標を掲げています。私たちは達成可能だと確信しています」と笑みを浮かべながら力強く述べた。


エコフードセンター共同創業者エファ・フレーマン氏 写真提供:Eva Fröman

彼女の確信は過去の成功体験に基づいている。下記では、エコフードセンターの情報をもとに公共調達のオーガニック化促進のヒントを紐解いていく。
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文=レムケなつこ

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