公開数も製作数も大幅減 コロナ後の映画業界はどうなる?

『ブラック・ウィドウ』の公開も幾度にわたり延期された(Getty Images)


自宅で新作映画を鑑賞できるこの仕組みは人気を集めている。ディズニーは、『クルエラ』を劇場とディズニープラスで公開したところ、それぞれの売り上げは最初の週だけで2000万ドル(約22億円)を超えた。

劇場とストリーミングは顧客を奪い合っているもが、両者が共存できるみる向きも多い。映画は今後、映画館とストリーミングで同時公開されるか、従来よりもかなり短い期間でストリーミング公開されるようになるだろうが、自宅と劇場での映画鑑賞は全く異なる体験だ。どちらにも長所と短所があり、人々は新作映画を見る上で、劇場の豪華な設備と快適な自宅環境の両方を選び続けるだろう。


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映画業界の未来


今後、映画のあり方や消費方法は大きく変わるかもしれない。撮影時の安全対策のコスト上昇により、独立系映画の製作は厳しい状況が続いている。大手製作会社は製作と宣伝に使える資金力があり、大きな財務的リスクを取ることができるものの、独立系の会社や製作者は資金調達がさらに困難となっている。少なくとも今後数年間、独立系映画は減るだろう。

今後は、多くの製作会社がアニメーション作品を増やすことが見込まれる。アニメーターは複数の場所から遠隔で仕事ができるため、安全対策の必要性が減り、アニメ映画はバーチャルな環境でも製作しやすい。

近年はシリーズものやリブート版が好まれ、オリジナル脚本の作品は減少傾向にあった。映画製作会社は新たなシリーズや脚本に賭けるよりも、既に実績がある映画やシリーズを選ぶようになり、このトレンドは今後も拡大するだろう。

映画館での作品観賞は長年にわたり娯楽産業で大きな地位を確保してきたが、それは新型コロナウイルスの流行により根底から覆されたかもしれない。今後の映画業界は大きく変わり、映画と消費者との距離はこれまでにないほど縮まることだろう。

編集=遠藤宗生

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