「焼酎粕」を電池の材料に 廃棄処理を減らす薩摩酒造の取り組み

焼酎粕を利用した新エコシステム(Shutterstock)

薩摩酒造はこのほど、エルステッドインターナショナル・福岡工業大学・BlueForceと共同で、本格焼酎造りの過程で発生する焼酎粕(かす)を電池の電極材に変換する「環境・エネルギーミックスビジネスモデル」事業の「焼酎粕の新エコシステム構築プロジェクト」を発足させた。同プロジェクトは、5R(Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Renewable(再生可能)・Reborn(再生)・Recycle(再生利用))方式を活用し、焼酎粕を由来とする活性炭の開発を目指す。

酒粕
(出典:薩摩酒造)

本格焼酎の製造過程で生じる焼酎粕は通常、産業廃棄物として処理する必要がある。年間1万トン以上の焼酎粕が発生する薩摩酒造は廃棄処理を避けるべく、近隣15社の焼酎蔵元と協力して以下のシステムを運用し、CO2削減と鹿児島の主要産業である畜産業への資源循環の実現を進めてきたとしている。

1.焼酎粕を液体と固体に分離
2.液体部はメタン発酵させクリーンエネルギー化し、ボイラー燃料として再利用
3.固体部は乾燥させ飼料化

社会へのさらなる貢献方法を模索していた薩摩酒造は今回、BlueForceがプロジェクト化した「環境・エネルギーミックスビジネスモデル」事業に参画することを決定した。同プロジェクトでは2021年に基礎研究が開始、2023年に炭化などの実証実験、2025年から蓄電実証実験が実施される予定だ。

薩摩酒造
(出典:薩摩酒造)

大量廃棄されている酒粕を有効利用するそのほかの試みとしては、エシカル・スピリッツが2020年に設立した、酒粕をジンのベーススピリッツとして使用する再生型蒸留所「東京リバーサイド蒸溜所」がある。今後、酒粕のさまざまな活用方法が開発されていくことが期待される。

【プレスリリース】薩摩酒造、“焼酎粕 (かす) ”を次世代電池の電極材に 「環境・エネルギーミックスビジネスモデル」プロジェクト始動


(この記事は、2021年8月にリリースされたCircular Economy Hubの記事から転載したものです)

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文=クリューガー量子

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