企業価値100億ドルのデカコーン「Figma」が担うデザインの未来

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高校時代をカリフォルニア州ソノマ郡のテクノロジーに特化したマグネットスクール(特別カリキュラムを持つ学校)で過ごした彼は、リンクトインの夏のインターンシップに参加し、社会的インパクトを与えるプログラムで、幹部たちを驚かせた。その後、ブラウン大学に進んだフィールドは、コンピュータサイエンス学部でFigmaの共同創業者のウォレスに出会った。ウォレスも、高校時代にピクサーのインターンを務め、3Dプールの中で揺れるボールを表現するアルゴリズムを考案して注目を集めていた。

顧客の声に耳をすます


フィールドはその後、2012年に大学を中退し、ピーター・ティールの若手起業家育成プログラム「ティール・フェローシップ」から10万ドルの支援金を受けてFigmaを創業した。

フィールドが描いた、アドビのPhotoshopと同じ機能をWebブラウザで再現するというアイデアは、Flipboardの取締役のダニー・ライマーのVCや、Index Ventures、リンクトインの当時のCEOのジェフ・ワイナーらに認められ、2013年に400万ドルのシード資金を獲得した。

Figma のユーザーの80%は米国以外の顧客で、6月の2億ドルのシリーズEには、ブラジルのBase Partnersなどの海外の投資家も参加した。フィールドは今、海外での事業の拡大や、新たな買収、新機能の実装などの様々な課題に優先順位をつけようとしているが、先のことを考えすぎないようにしているという。

あまりにも多くの物事に取り組むと、Figmaのツールが無秩序になってしまう可能性があるからだ。彼は、ほぼ毎日、Figmaについての言及をツイッターでチェックし、サポートのメールを読んでいる。「そのすべてが前向きな内容ではないが、顧客の要望を知ることは重要だし、彼らに喜んでもらうことが、私のモチベーションだからだ」とフィールドは話す。

常にバランスを考えているフィールドは、コロナ禍のなかで早くからハイブリッドな勤務形態を導入し、サンフランシスコの新本社では週に2日の出社日を設け、社員たちが顔を合わせるようにしている。7月に筆者が会社を訪れた時に、彼はこう話していた。「私たちはしっかりと目を見開いて、新しい状況に適応しようとしている」

編集=上田裕資

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