スレッドアップはRaaS事業を成長させるため、ファッション業界とのタイアップという既存の枠組みを超える、予想外のパートナーシップを次々と実現させている。7月15日にはRaaSに関してLGエレクトロニクスUSAと提携。LGの家電製品を購入した顧客向けに、家にある不要なアパレル製品の処分を提案するプログラムを企画した。
LG家電製品のユーザーは、「ThredUP x LG Donation Clean Out Kit」を注文するか、オンラインで提供される同プログラム用ラベルを自宅でプリントアウトし、これを使うことで、不要なアパレル製品を送料無料でスレッドアップに送ることができる。送付されたキット1つごとに、両社が5ドルを慈善事業に寄付する。このプログラムは、消費者にファッションに関わる環境負荷の削減を促す、LGの「セカンド・ライフ」キャンペーンの一環として実施される。
スレッドアップが買収するリミックスは、スレッドアップが持つ独自の運営プラットフォームと同様の、カスタムメイドのシングルSKU(在庫最小管理単位)物流システムを構築しており、これにより大量の一点物アパレルアイテムを効率的にさばく体制を確保している。今回の買収により、スレッドアップは自社体制を補完する事業インフラと、欧州への事業拡大の足がかりとなる経験豊富な経営チームを手に入れることになる。
スレッドアップは、リミックスの製品ラインアップ、処理用インフラ、市場開拓戦略に投資し、同社マーケットプレイスの成長を加速させる計画だ。買収後も、リミックスはスレッドアップ傘下の独立部門として事業を継続し、引き続き最高経営責任者(CEO)のリュボミル・クレノフ(Lyubomir Klenov)により率いられる。クレノフは、欧州におけるスレッドアップの事業拡大に関して陣頭指揮をとる。その一方でスレッドアップ自体は、他の主要市場でそのプレゼンスを増すための取り組みを進める。
スレッドアップにとって今回のリミックス買収は、自社のRaaSプラットフォームを米国外に拡大する機会となる。これにより、各ブランドや小売業者は、カスタマイズされたリセール体験を欧州の顧客に提供することが可能になる。すでに世界有数の大手ブランドや小売業者が、スレッドアップのRaaSプラットフォームを活用して自社の再販売チャネルを運営しているなか、今回の欧州への事業拡大は、さらなる成長の扉を開くものと言える。
リミックスの買収手続きは2021年第4四半期中に完了する見込みだが、慣例の完了条件や、この契約に関する条件を満たすことが前提となる。本件については、グッドウィン・プロクター LLP(Goodwin Procter LLP)とキンステラー(Kinstellar)がスレッドアップの法律顧問を務めている。