ビジネス

2021.08.15

時価総額12兆円の「スクエア」を支えるアマゾン出身女性幹部

アリッサ・ヘンリー(c) Square


ソフトウェア改革を推進


アマゾンが2006年にソフトウェアの開発やスケールアップを行うソリューションであるAWSの外販を開始すると、ヘンリーはその初期の社員となった。調査会社ガートナーによると、AWSは昨年260億ドルを稼ぎ出し、クラウドインフラ市場のシェアで世界首位の41%を獲得した。AWS事業にはコンピューティングとストレージのレンタルやネットワーキングサービスが含まれる。

「スクエアに入社したとき、この会社のソフトウェアは大きなモノリシックアーキテクチャで、アマゾンの初期のようだった。我々にはコマースプラットフォームという概念がなく、決済機能に多くのものを付加しているだけだった」とヘンリーは話す。

スクエアは、マイクロサービスアーキテクチャに移行することでオムニチャンネルのコマースプラットフォームを構築した。現在、同社のソフトウェアは注文管理やサブスクリプション、ロイヤリティプログラムなど、顧客企業の事業を構成する約30種類のコンポーネントを繋げている。

消費者がオンラインで買い物をしてリアル店舗で返品した場合、スクエアを介して在庫情報は自動的に同期化される。ヘンリーによると、スクエアは統合されたソフトウェアスイートによって多くの顧客を獲得することができたという。特に小規模な事業者の多くはばらばらなソリューションに依存していたため、スクエアに乗り換えるケースが増えている。

「これらの作業をアナログで行っている事業者も多い。自動化ソリューションを個別に購入しても連動していないため、1つのブラウザタブから別のタブへコピペしなければならない。これはゾッとするような状況だ」と彼女は話す。

ヘンリーは毎年新たな課題に直面したが、これまでで最も重要だったのはカードリーダー中心のビジネスから脱却し、eコマースにも同じだけ注力することだったという。スクエアは、事業者にオンラインストアを構築するツールを提供するため、2018年にウェブサイトビルダーのWeeblyを3億6500万ドルで買収した。
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編集=上田裕資

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