グラフェン電池の「Nanotech Energy」が70億円調達、EV需要拡大見込む

ナノテクエナジーCEO ジャック・カバノフ

台湾の金融サービス事業者「フーボン・フィナンシャル・ホールディング(富邦金控)」が、米国のバッテリーメーカー「ナノテクエナジー(Nanotech Energy)」社の6400万ドル(約70億円)のシリーズD資金調達を主導した。

ジョー・バイデン米大統領は8月5日、2030年までに米国で販売される新車の半分をゼロエミッションにするよう呼びかけ、EV(電気自動車)メーカーを後押ししているが、ナノテクエナジー社は急成長しているEVや家電製品向けのバッテリーを製造している。

ロサンゼルスに本社を置くナノテクエナジーは、新たな調達資金で、ネバダ州リノにグラフェン電池の製造施設を建設し、アムステルダムに欧州本部を開設する。2022年後半に開設予定のリノの施設は、カリフォルニア州に数百人の雇用をもたらすと同社は述べている。

ナノテクエナジーは、カリフォルニア州チコの工場における、グラフェン素材やグラフェンをベースにした導電性インク、接着剤、シールド、銀ナノワイヤーなどの製造キャパシティを拡大する予定だ。

同社の評価額は5億5000万ドルに上昇し、累計調達額は9490万ドルとなっている。

フボン・フィナンシャル・グループのリチャード・ツァイ会長は、「ナノテクエナジーが独自に開発した不燃性グラフェン電池は、今後の大きなポテンシャルを秘めている」と述べた。

フォーブスは、ツァイ会長の保有資産を47億ドル、弟のダニエル・ツァイの保有資産を45億ドルと試算している。

ナノテクエナジーの共同創業者でCEOのジャック・カバノフは、「我々は、7年以上をかけてバッテリーの貯蔵容量と安全性を向上させるための新素材の研究を重ねてきた。グラフェンがもたらす素晴らしい機会を認識し、我々のビジョンを共有してくれる投資家たちに感謝している」と述べた。

2014年にUCLAの科学者リチャード・ケイナーとマハー・エル・カディらによって設立されたナノテクエナジーは、Multiverse Investment Fundなどからの出資を受けている。

編集=上田裕資

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