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2021.08.11 07:30

上場したロビンフッドは、なぜ「証券業界のテスラ」なのか?


また、ユーザーとしても、Robinhoodのおかげで以前より遥かに快適かつ簡単に株取引を行えるようになりました。同アプリでは、金融サービスというよりはゲームに近い感覚で株を売買できます。実際、同社がIPOで提出した書類によると、ユーザーの約半数が毎日欠かさずアプリを開いて投資状況をチェックしているそうです。しかも、平均で1日に7回もアプリをチェックしているというのです。業態を知らずにアプリの利用頻度だけを見れば、ソーシャルメディア系の企業だと勘違いされてもおかしくありません。

一方で、空売り狙いでRobinhoodに投資している投資家の多くは、同社の先行きには不安があると強調しています。

例えば、最近では大手プレイヤーも同社のサービス形態の利点に気づき、類似した機能や利便性を提供し始めています。Fintech界でも、近年多くのイノベーションがカンブリア爆発のごとく生まれてきていることから、それに伴い資金豊富な新しいスタートアップが何百も誕生し、Robinhoodのシェアを削ろうと対抗してきています。

また、Robinhoodの主要ビジネスモデルである「Payment for order flow」では、取引手数料を無料にする代わりに、顧客の注文を仲介業者に回してリベートを受け取ることで収益をあげているのですが、このビジネスモデルの妥当性について規制当局から疑問視されていることも懸念材料の1つです。

これらの批評はどれも一理あるのですが、それでもRobinhoodが誰よりも先行して圧倒的に有利なスタートを切ったことを考えると、当面の間はライバルとの差を維持できる可能性が高いでしょう。実際、2015年以降、米国で新たに開設された証券取引アカウントのうち、およそ半数をRobinhoodのアカウントが占めています。ブランド力も高く、すでに多くのSNSと同様に米国のポップカルチャーの一部として地位を確立しています。規制が今後見直される可能性もありますが、影響を受けるのは業界全体であり、同社に限ったことではありません。

個人投資家向けの金融サービス業界に革命を起こし、一変させてしまったRobinhoodは、今後何年にもわたってその功績による恩恵を享受できるだろうと私は予想しています。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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