ニューヨーク・タイムズが複数の関係者の話として伝えた。30歳未満のワクチン接種者でまれに見つかっている心筋炎や心膜炎といっためずらしい副反応を検出するには、現在の治験の規模や範囲では不十分という指摘が米食品医薬品局(FDA)からあり、両社はその要請に応じて治験を拡大する方向になったという。
米疾病対策センター(CDC)は6月に、ファイザーやモデルナが手がけるタイプのワクチン、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンの接種後に心臓の炎症を発症した米国人1200人のうち、約500人は30歳未満だったというデータを公表している。
もっとも、2回目のワクチン接種後にこうした副反応が出た人は全体では100万人あたり13人足らずにとどまる。発症した場合も通常は2〜3週間程度で治癒するが、なかには慢性的になる場合もあるという。心筋炎や心膜炎では胸の痛みや息切れといった症状がみられる。
CDCの安全性評価グループは先ごろ、新型コロナワクチンと、まれにみられる心臓の炎症の間には「たぶん関連がある」ことがわかったと発表する一方、こうした症状の報告例は全体の接種数に比べるとごくわずかで、同様の症状を発症するリスクは新型コロナにかかった人のほうが高いとも指摘していた。
イェール大学の研究者らが5月に発表した研究によると、新型コロナウイルスに感染した子どもではおよそ1000人に1人の割合で「小児多系統炎症性症候群(MIS-C)」と呼ばれる症例がみられた。MIS-Cでは大半のケースで何らかの心筋炎の症状が表れる。
ただ、ワクチンの接種を受けていない青年成人は新型コロナによってそれ以上に大きなリスクにさらされ、さまざまな深刻な心臓異常を発症するおそれがある。そのため、専門家らは引き続き青年についてもワクチンの接種を推奨している。
FDAは7月に、12歳未満の子どもに対する新型コロナワクチンの緊急使用許可を今冬の半ばごろに出すとの見通しを示している。