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2021.08.14

オハイオ州コロンバス市に、米国内と日本から人と金が集まる5つの理由

photo by RandallLSchieber

米国で7番目に大きな経済圏であり、人口約1170万人、世界第21位のGDP、製造業の国内総生産は第4位を誇るオハイオ州。その州都コロンバス市および周辺地域は米国中西部のグローバル都市で、中心都市へのアクセスの良さ、低い運営コスト、高度な教育を受けた多様な労働力、ビジネスに有利な税制、経済的安定性により、多くの企業を魅了してきた。

さらに近年はイノベーション創出地域としての地位を確立しようとしており、電気自動車やAIヘルスケアなど、将来性のあるビジネスが展開されている。(JobsOhioより)

そこで、コロンバス地域11郡の経済開発組織である One ColumbusのCEOのKenny McDonald氏にインタビューし、コロンバス地域の魅力をまとめた。

ケニーマクドナルドの写真
One Columbus President and CEO Kenny McDonald

1. 多様な産業構造による経済的安全性


今年初め、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、パンデミックの際に、トラベル事業に頼らない中西部が国の大部分よりも早く回復したと報道した。更に、雇用の18%以上を占める産業がない点も強固な経済的安定性を支えている。

コロンバス地域(人口は名古屋市と同程度の約220万人)には、JPMorgan Chase, Nationwide, Abercrombie & Fitch, Express など、世界で最も知名度の高いブランドや、革新的な中小企業、強力な研究拠点、学術機関などが集積しており、Fortune1000社のうち16社も含まれている。

当地域は歴史的に、金融・保険、自動車産業、製造業などの分野で有名であるが、イノベーションによって各産業は進化し続けている。

・金融・保険業

コロンバス地域でNo.1の民間セクター(経済生産高ベース)である。JPMorgan Chase最大のグローバル・テクノロジー・センターを有し、当地域で2万人以上の従業員が雇用される世界第2位の雇用市場でもある。

また、Root Insurance, Upstart、Beam Dental、 Bold Penguinなどの急成長企業がフィンテックとインシュアテックのハブを形成。活発なイノベーションエコシステムでは、Drive Capital(セコイア・キャピタルの元VCがシリコンバレーからセントラルオハイオに移転し設立)やRev1 Venturesといったベンチャーキャピタルの存在感が増している。

・製造業

1700以上の製造業があり、9万人近くの従業員が働いており、年間150億ドルを超える経済効果を上げている。

製造業がここまで強い理由の1つに、企業と連携して現代の製造業に必要なトレーニングやスキルを提供するキャリア・テクニカル・トレーニングセンターの存在があり、経営陣やエンジニア、工場で働く人々にとってのパイプラインを形成している。Honda、Boeing、Whirlpool Corporationのような大企業も高校のSTEM教育やオハイオ州立大学へ次世代リーダー/エンジニア育成のために協力しており、製造業の輝かしい未来を象徴しているようだ。

産業機器製造マリオン・インダストリーの広大な敷地
産業機器製造マリオン・インダストリーの広大な敷地 photo by One Colombus
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文=森若幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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