勝ち負けじゃない。生産的な議論をするための5つのコツ

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3. 焦点がぶれないようにする


会話の焦点がぶれないようにすることが非常に重要だ。ただこれは、議論に幅を持たせてはいけないというわけではない。

まず、一度に一つの問題を扱うように気を付けて会話を進めること。一つの問題に焦点を定めることで、会議では一つの場所にエネルギーが注がれ、複数の話題が融合して混乱や複雑な議論に発展することを避けられる。

2つ目に、複数の話題を議論することは避けられないが、そこで話題になっているより広範な議論との関連性があるようにすること。その会話を通して得たい成果や目標があるはずだ。議論の内容はそこに向かう必要がある。

4. 下調べをする


会話を主導する人は、内容について理解していなければならない。内容を管理し、目標から焦点がぶれないようにし、議論の温度やペースを制御することが課題になる。そのためには信頼できる人になることが必要だ。

これは、事実の理解にとどまらない。他者がどのように事実を認識するかを理解できるよう、事実を異なる視点から理解することも重要だ。また、こうした事実を文脈の中で示し、理解向上に取り組むことも必要となる。

5. 勝とうとしない


覚えておくべきポイントの中でおそらく最も重要なものは「勝つか負けるか」という考えを持たないことだ。一方が勝者になるという感覚を持てば、相手は自分の立場に一層固執するだけで、これは求めているものと真逆の結果を生む。そうではなく、双方が得をする結果を出す方法を考えること。

難しい会話をゼロサムゲームのように考えると、一方は多くの点が改善するが、もう一方は状況が悪化せざるを得ない。ジェンキンスは「これはアイデアや思考プロセスの交換だ。競争でも口げんかでも、討論会でもない」と述べている。

目的は理解することにある。人質解放の交渉でも車の購入でも、ジェンキンスが「人間関係のクレジットスコア」と呼ぶものを上げるのが目標だ。

交渉にはどう影響?


ジェンキンスが挙げた5つのステップはどのような議論においても素晴らしい枠組みとなるが、交渉では特に効果的だ。交渉とはそもそも難しい会話で、どのような成果が理想かについて双方がそれぞれ考えを持ち、異なる情報や視点を持っている。

5つ目のルールが重要な理由もここにある。あなたは交渉に「勝つ」かもしれないし、その勝利は契約が続く間は継続するだろう。しかし、昇給を求めている場合や新たなサプライヤーと交渉する場合は、より実りある長期的な関係を築くため、双方のメリットになる解決策が必要だ。

翻訳・編集=出田静

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