子供にコロナ感染広がる米国、南部はRSウイルス流行で病院に危機感

Mario Tama/Getty Images

感染力が大幅に強まった新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」によって感染者が急増している米国では、7月初め以降、子供(未成年)の間にも感染が急速に広がっている。22~29日までの1週間には、前週比で84%の「大幅な」増加がみられたという。

米国小児科学会(AAP)が新たに公表したデータによると、この1週間に感染が報告された子供(該当する年齢は州により異なるが、大半は0~17歳、または19歳)は約7万2000人で、新規感染者全体の約19%を占めた。前週に確認された子供の感染者は、約3万9000人だった。

入院する子供の感染者の増加が特に目立つのは、南部の8州(アラバマ、アーカンソー、インディアナ、ルイジアナ、ミズーリ、サウルカロライナ、テキサス、フロリダ)。感染により入院している子供が最も多いのは、現在のところフロリダ州だ。7月24~30日には、1日当たり32人の子供が入院した。

また、これらの州では同時に、米国では通常、冬に感染する子供が最も多いRSウイルスの感染者も急増している。米疾病対策センター(CDC)のデータによると、RSウイルスの感染者数は6月初旬から増え始め、その後1カ月間で大幅に増えている。

子供たちに新型コロナウイルス感染での入院が増えている理由について、専門家らは、新規感染者に占める若年層の割合が大きくなっていることを指摘している。12歳未満の子供がワクチン接種を受けられないこと、13~19歳と若年成人の間で、接種率がかなり低い水準にとどまっていることなどが挙げられている。

AAPは、子供に関する全州のデータを一定間隔で収集していないため、現時点でこうした状況が全米に広がっているかどうかは明らかではない。だが、CDCは、「感染後の重症化リスクはすべての年齢の人にある」として、注意を喚起している。

テキサス州の病院に危機感


テキサス州の病院は、新型コロナウイルスに加えてRSウイルスの感染で入院する子供が急増していることに、警戒感を強めている。同州ヒューストンにあるテキサス小児科病院のヘザー・ハック医師は、「次から次へと」子供の患者が運ばれてくる状況について、次のようにツイートしている。

「子供の新型コロナウイルス感染者はここ数カ月、ゼロからごく少ない人数でした。(ですが)また連日、乳幼児から子供、10代の感染者たちが病院にくるようになっています」

同医師はまた、RSウイルスに感染し、急性の症状が出ている乳幼児の数が冬の流行期と同じような数に増えていることに危機感を示し、「ベッドもスタッフも不足することになるのではないかと懸念している」と投稿している。

編集=木内涼子

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