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2021.08.07 08:30

家と家族を見守る。グーグルの最新デバイスは日本で成功するか?


スマートドアベルはバッテリーによる給電に対応しているとは言え、玄関の壁面などに固定するためにネジ止めが必要になる。賃貸住宅の場合は導入がためらわれてしまう。また都市部では特に集合住宅も多いことから、共用インターホンの代わりに、あるいは追加する形でNestシリーズをインストールすることもまた難しい。

本機については住宅メーカーやリフォーム事業者、ホームセキュリティサービスを提供する企業と組んで足場を固めることが必要だろう。グーグルが2017年にスマートスピーカー「Google Home」を日本で発売した際には住宅メーカーやインターネットインフラを扱う事業者と組み、設置や使い方のサポートを充実させたことで関心を呼び込んだ。


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あるいは、Google TV(Android TV)を搭載するソニー、シャープ、東芝など大手メーカーと連携し、ドアベルの映像をリビングルームでテレビを見ながら確認できるようになれば、目新しさに注目が集まるかもしれない。

日本では2011年7月に地上アナログ放送が停波を迎えた時にデジタルテレビを購入した層が、一般的に10年サイクルで訪れると言われる「テレビの買い換え時」を迎えつつある。この機会に乗じてGoogle TV搭載のテレビとセットにして売れば普及に弾みを付けられそうだが、残念ながらNestシリーズのカメラ映像をテレビで見る機能がまだ実装されていない。グーグルは早めの対応を検討すべきだと思う。

筆者はまだ新製品の実機を試せていないが、海外のレビューなどを読む限りGoogle Nest Camはコンパクトで設置しやすく、操作も簡単で馴染みやすそうだ。

ただ、留守中のペットを見守るためのストリーミングカメラは、日本の家電大手メーカーやスタートアップ、大手通信キャリアなども力を入れており、既に市場は活況を呈している。新製品の発売後にもホームセキュリティや介護、ペットシッターなどの事業者との連携を広げたり、日本の市場に合わせた用途の開拓にも力を入れることがグーグルにとって突破口を開く近道になるだろう。

文=山本 敦

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