ワイン造りもサステナブルが要に。カリフォルニアワインの取り組み

ワイン造りにおけるサステナビリティとは、ブドウ畑からグラスまで、全ての過程をカバーする(写真:筆者撮影)


リッジ・ヴィンヤーズ(Ridge Vineyards)




リッジ・ヴィンヤーズは、カリフォルニアを代表する、トップクラスの生産者だ(過去の記事はこちら)。

ソノマの拠点には、樹齢100年を超えるブドウの木が植わっているが、自社畑には有機農法が採用され、ソノマで有機栽培を実践するワイナリーとして最大規模。有機農法を採る理由は、ブドウの質をあげるだけではなく、昔ながらの伝統的なワイン造りを大切にしたいという思いもある。

サステナブルな取組みは、畑だけではなく、ワインセラーや従業員の待遇、事業としての持続可能性にまで、広範囲に組み込まれている。



ワイナリーの改築の際には、根本からサステナブルの構想を取り入れた。例えば、太陽光発電を最大限活用するため、建物の屋根は南向きに設置し、今ではワイナリーで使用する電力の75%を賄っている。建築資材には、リサイクル資材や自然な断熱効果が期待できる藁素材を使うなど、様々なところで工夫がなされている。

リッジでは、水質改善と環境管理の優秀性が認められ、米国下院とカリフォルニア州義会から表彰されている。次の目標は、カーボンニュートラルだという。

シルヴァーオーク(Silver Oak)




シルヴァーオークは、カベルネ・ソーヴィニョンを主体とした赤ワインで有名なワイナリーだ。ナパから始まり、現在ではソノマのアレキサンダー・ヴァレーにも拠点を持つが、そのソノマの拠点は、“世界中で最もグリーンでサステナブルなワイナリー”を建てることを目標に設計された、先進的なものだ。

要件が厳しく取得が難しい「Living building certification」建築基準にも合格した建物で、太陽光パネルでは、必要な電力の120%を創出。干ばつが続くカリフォルニアで貴重な水資源も、1ガロンのワインを造るのに以前は7〜8ガロンの水を使用していたものを、1ガロンの水量にまで削減するなど、日々、改善に取り組んでいる。



カリフォルニアのワイナリーには、頻繁に足を運び、生産者から様々な取り組みや話を聞く機会があるが、この2つのワイナリーの例でみられるように、いまや、ワイン生産者が、サステナブルなワイン造りを念頭に置くことは、必要不可欠であることを感じる。

環境問題は、様々な要因が複雑に絡み合い、消費者の目からわかりにくい面もある。いち消費者としても、表面的な謳い文句や個別の要因に惑わされずに、それが真にサステナブルなものかを判断する目を持ち、そうした取組みをしている生産者をサポートしたい。

島 悠里の「ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座」
連載記事一覧はこちら>>

文=島悠里 写真=ワイナリー提供

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