長野県知事が語る、15年連続「移住希望」日本一の秘訣

阿部守一長野県知事(オンラインでのインタビュー風景)、オンラインインタビュー時のみマスクを外しています。


最後に人の魅力があると思います。例えば、長野県に移住され、ワイナリーをオープン、今ではワインの醸造家育成の学校まで経営されている玉村豊男さんは、現在信州ワインバレー構想を中心となって積極的に進めていただいています。結果として県下に多くのワイナリーが出来、来訪者、移住者とも年を追うごとに増えてきています。

特に最近は若いワイン醸造家の方々の移住も増えています。人と人の交わりから生まれた新価値創造の素晴らしい成功事例だと思います。

このように、長野県は移住され豊かなライフスタイルを送っている方が多いと思います。移住された方が、地元の方と交わり新しい価値を作っていく、そのように人と人が交わることで新しい価値を創造していく循環モデルがあることが長野県の大きな魅力だと思っています。これからも長野県は、新しい暮らしや働き方を求める方々に対し価値を提供し、人が人を呼ぶ仕組みづくりに力を入れていきます。

リゾートテレワークの目的は、人と人との交わりから生まれる新価値創造


鈴木:ワイナリーだけではなく、最近ではウイスキー蒸留所の計画が小諸と軽井沢で発表されています。今後は国産モルトウイスキー人気を背景に、酒類ツーリズムなど新しいツーリズムも期待されています。

長野県のテレワークの推進は、すでに2017年から全国にも先駆けて啓発活動をされてきました。同時にワーケーションも「信州リゾートテレワーク」という統一ブランドで「リゾート地でワークする」ということを前面に出して、首都圏からワーカーを積極的に誘致されています。リゾートテレワークを推進してこられた背景、今後の戦略についてお聞かせください。

阿部:やはり働き方、暮らし方が多様化する中で、多くの皆さんに対して長野県からそうした環境を提示したい、そういった皆さんを応援したいという思いと、県としてのメリットとして、「つながり人口」を増やす、交流人口を増やすという観点があります。

人口減少社会の中で、単に定住人口を増やすことだけでなく、地域にコミットいただける方たちを増やしていくということが地方行政の戦略として非常に重要になってくる。そのための一つの方法論としてこの信州リゾートテレワークを進めてきているところです。

長野県はリゾートテレワークを今までも強力に推進してきましたが、今後はさらに受入環境を充実させていく計画です。今各地域で、リゾートテレワークにより地元の方と移住者やワーカーの方が活発に交流しています。多様な方々が交流することは、新価値創造に繋がり移住者の増加にもつながりますので、とても期待しています。これからも県として普及に強力に取り組んでまいります。
次ページ > 参加者と企業と地元のすべてにメリット

文=鈴木幹一

ForbesBrandVoice

人気記事