「グローバルで勝たなければ先がない」 日本が直面する危機とは

猪塚武(提供=キリロムグループ)

日本人がグローバルで戦うためには何が必要か──。投資やビジネス、教育などの視点から、そのテーマを考える「キリロムグローバルフォーラム2021夏」が、8月10日から2日間開催される。各界の有識者が登壇し、全50のセッションがオンラインで行われる。

カンファレンスを主催するキリロムグループのCEO、猪塚武(いづかたけし)は、IT企業の起業家でもある一方、カンボジアにあるキリロム工科大学の理事長も務める。長く海外の情勢を見てきた経験から、「日本はグローバルで勝たないと、先がない」と危機感を募らせる。

いまだ残るドメスティックな思考


人口が減る中でもいまだ1億人のマーケットを持つ日本が、なぜグローバルで勝つべきなのか。猪塚はその理由をこう語る。

「海外にいると、今、人の興味は韓国にある。誰もJPOPを聞かないし、日本の家電は店舗から減っている。円が弱くなり、日本に帰る駐在員も増えている。周りの国が豊かになっていくことが分かる。

ところが、日本にいて日本のテレビを見て日本の周りの話を聞いていると、世界で起こっているそういう変化に気付けない。このままでは、日本は世界の平均かそれ以下まで貧しくなる」

しかし、日本人の誰もが海外視点を持ち合わせているわけでもなく、国内外の比較の視点も十分でない。その中でグローバルの重要性を主張すると、「『節税目的だ』『日本を見捨てたのか』と、聞く耳を持たれなかった」と猪塚は自らの体験を振り返る。

ビジネスに限らず、学校現場でも、ドメスティックな思考が残る。

「信じがたいことですが、海外留学をしようとすると、学校の先生が止める。地方の公立高校ナンバーワンと称される学校でそれが起きる。先生のKPIに、海外へ挑戦する生徒を育てるという選択肢が入ってないんです。教員にとってはハーバードに入るよりも、地元の国立大学進学率の方が重要視される」と猪塚は言う。

コロナ後、グローバルで挑戦するための準備を


だが猪塚は若者に期待を寄せる。「今でこそ少なくなったが、欧米には途上国から搾取するというモデルが存在した。しかし、日本では戦争の反省から『平和でなければいけない』と言われ続けてきたことで、少なくとも今の日本の若者は、搾取するのではなく『良い社会を作りたい』という感覚やカルチャーを持っている」と話す。

猪塚が住むカンボジアでも、そうした日本人の姿を目の当たりにした。

「ここで成功している日本人のアントレプレナーには、もともとはNGOでカンボジア支援をしていた、という人が多い。そういう人たちが起業をするので、利益だけを求めるのではない、ウィンウィンなビジネスがいっぱい立ち上がっている」という。

とりわけ、SDGsが叫ばれる昨今、「世界中でソーシャルアントレプレナーが求められており、純粋に良い世界にしたいという価値観を持った日本人はこの領域で強い」とも語る。

今回のカンファレンスには、起業家や大学教授、弁護士、議員、女優など、国内外で活躍する人物が登壇する。参加者も、国内外の教育やビジネスに関心の高い人たちが集まる。

「ワクチン接種が進み、近いうちに海外へのドアは開きます。今はまだ海外に行けない時期だからこそ、このイベントで分野を超えたコネクションを作り、グローバルに挑戦する準備をしてほしい」


カンファレンスでは、オンライン上の会話をより活発にするため「oVice」というツールが使用される。参加者はアバターとしてバーチャル空間でコミュニケーションができ、人脈作りや、新たなビジネスに繋げることができる。

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文=露原直人

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