米南部2州、自治体でマスク着用の義務化広がる 共和党知事の命令無視

テキサス州 グレッグ・アボット知事(Lynda M. Gonzalez-Pool/Getty Images)

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう米南部のテキサス州とフロリダ州で、マスクの着用を義務づける自治体が相次いでいる。両州では共和党の知事がマスクの着用義務づけを禁じているが、感染力の強いデルタ株によって感染が急拡大するなか、それに反するかたちで郡や市が独自に対策を強化している。

テキサス州ヒューストン市のシルベスター・ターナー市長(民主党)は2日、市のすべての職員を対象に、ソーシャルディスタンス(対人距離)をとることができない場合にはマスクの着用を義務づけると発表した。

同州のグレッグ・アボット知事(共和党)は先週、州内の自治体が独自にマスク着用を義務づけることを禁止する知事令に署名し、違反した自治体や当局者は最大1000ドル(約11万円)の罰金を科すと警告していた。

ターナーの措置はこの命令に反するものとみられるが、ヒューストン市側は市長には「ウイルスの拡散を防ぐために、市の職員に屋内でのマスク着用を求める権利と責任がある」(メアリー・ベントン広報部長)としている。

フロリダ州でもこれまでに、パームビーチ町のほか、マイアミ、フォートローダーデール、オーランドがそれぞれ位置する郡などが政府庁舎内でのマスク着用を義務化している。これらも、自治体によるマスク着用の義務化を制限しているロン・デサントス知事(共和党)の命令に反する措置だ。

オーランドのあるオレンジ郡は先週、労働組合に入っていない郡職員全員を対象にワクチンの接種も義務づける方針も発表している。

テキサス州とフロリダ州は現在、米国内のデルタ株による感染拡大の中心地になっている。ホワイトハウスのコロナ対策調整官は2日、全米で過去1週間に報告された感染者のうち、3分の1を両州の人が占めたことを明らかにしている。

フロリダ州ではこの週末、1日の新規感染者数が2万1000人超に達し、パンデミック(世界的大流行)が始まって以来の最多を更新した。

一方で、テキサス州とフロリダ州のワクチン接種率はほかの州に比べて低く、成人で少なくとも1回接種を受けた人の割合は全米平均の70%に対して、フロリダ州では69.2%、テキサス州では65.1にとどまっている。ニューヨーク・タイムズのまとめによると、入院者数は両州とも過去2週間で50%以上増えている。

編集=江戸伸禎

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