日本政府が米国務長官に送った「63万円のウイスキー」の行方

マイク・ポンペオ前国務長官(Joe Raedle/Getty Images)

米国務省は、今から2年以上前に日本政府からマイク・ポンペオ前国務長官に贈られた高価なウイスキーのボトルの行方を探していることを、8月4日に提出した資料で明らかにした。

ニューヨーク・タイムズ(NYT)は4日、日本政府からポンペオに贈られた5800ドル(約63万5000円)のウイスキーのボトルが行方不明になっているとの記事を掲載した。国務省が開示した、2019年の外国政府からの「高額ギフトリスト」で、ボトルは行方不明とされており、同省は「この問題について継続的な調査を行っている」と述べている。

ポンペオは贈り物の受取人として記載されているが、彼が個人的に受け取ったかどうかは定かではない。NYTによると、このギフトの受け取り日に、ポンペオはサウジアラビアにいたが、その後の数日のうちに日本に向かい、外務大臣と会談していたという。

ポンペオの弁護士のウィリアム・ブロックは、フォーブスの取材に対し、前国務長官はボトルを受け取った記憶がなく、その行方についてもわからないと回答した。

フォーブスは、ワシントンD.C.の日本大使館にコメントを求めている。

ブロック弁護士はフォーブスに対し、「ポンペオ前国務長官は、ウイスキーのボトルを受け取った記憶がなく、それがどうなったかについて知らないし、その所在についての問い合わせを受けたかどうかも分からない。彼は、このウイスキーのボトルがどのように処分されたのか、全く見当がつかないと述べている」と回答した。

連邦政府の職員は、415ドル以上の価値を持つ外国政府からの贈り物を、記念品として、あるいは個人的に使用するために受け取ることを許可されていない。職員は、「相手に不快感や困惑を与えたり、外交関係に悪影響を及ぼす可能性が高い」場合には、415ドルを超えるギフトを受け取れるが、連邦法によれば、その品物は一部の例外を除いて、政府の所有物とみなされる。

5800ドルという金額は、希少で高価なジャパニーズ・ウイスキーとしては珍しいものではなく、なかには数千ドルから数万ドルで販売されるものもある。

トランプ側近には8374ドルのボトルを贈呈


2019年に、連邦政府は少なくとも他に2本のウイスキーを受け取っている。その一つは、日本政府がトランプ大統領の元側近でアジア政策担当のマシュー・ポッティンジャーに贈った8374ドルのボトルで、もう一つは2525ドルのボトルとボールペンのセットだった。後者の贈り物の差し出し人は公表されていないが、諜報機関宛てのギフトの送り主は開示されない場合も多い。

ポンペオは過去にも職場の倫理上の問題を問われたことがある。国務長官時代に彼と、彼の妻は、長年のつきあいのある国務省の職員に、犬の散歩やディナーの予約、クリスマスカードの発送などの個人的な雑務を依頼していたとする報告書が、今年4月に公開された。

ポンペオは、自分や妻が倫理違反を犯したことを否定し、この報告書が「中傷」で「政治的意図に基づいた、事実誤認だらけの内容だ」と反論していた。

編集=上田裕資

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