2. 普遍的で比較可能なESG指標
この評価基準は、すべての地域のあらゆるセクターに共通して適用できるものです。これにより、投資家はすべての企業の進捗状況を中核指標で比較することができます。投資家やその他のステークホルダーが企業のパフォーマンスを完全に理解できるようにするため、企業は、業界や企業固有の重要な指標を報告する必要がありますが、ステークホルダー資本主義メトリクスはこれを代替することを意図したものではありません。完全性を確保し、いいとこ取りを避けるために、このメトリクスには「開示せよ、または説明せよ」という条項が設けられています。
3. 明確な目標が設定されたメトリクス
ステークホルダー資本主義メトリクスは、より多くの企業がこの基礎的なESGトピックについて報告するように設計されています。このメトリクスは、21の中核指標のみで構成されており、採用の普及を促せるように目標が明確になっています。これがなぜ重要かというと、例えば気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のガイドラインに沿って気候リスクを包括的に報告している英国の公開企業は、現在50社に満たないからです。より多くの企業にESG報告書を採用するよう促す上で、投資家は大きな役割を果たすことができます。ステークホルダー資本主義メトリクスはその手始めとして最適であり、すでに80社以上の大手企業がESG報告を取り入れるとしています。
4. 気候変動を超えて
気候変動は非常に重要な課題ですが、私たちが対処しなければならない環境影響はそれだけではありません。持続可能な価値を創造していくには、淡水、肥沃な土地、生態系の保護も不可欠です。より良く機能していない社会でビジネスを成功させることはできません。エデルマン・トラストバロメーターによると、ESGの3つの要素のうち、「社会」は投資家にとって他の要素と同程度に重要性が高まっています。そのニーズに沿い、ステークホルダー資本主義メトリクスは社会的影響と環境的影響の双方を取り込んでいます。
5. グローバルに認められたESG基準の策定に関わる有力な機関
米国証券取引委員会(SEC)や欧州連合(EU)などの規制当局は、現在、サステナビリティ報告書に関する規則の義務化を検討しています。IFRS財団は、証券監督者国際機構(IOSCO)や基準設定主体などと協力して、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の下でのグローバルな解決策を検討しています。世界経済フォーラムのインターナショナル・ビジネス・カウンシルは、これらのプロセスに関与しており、ISSB技術作業部会のメンバーでもあります。これは、ステークホルダー資本主義メトリクスの企業コアリションがESGグローバル報告において発言権を持つことを意味します。
私たちは、ステークホルダー資本主義メトリクスをすべての投資家に支持し、企業がいますぐに利用できる手段となるよう働きかけています。また、グローバルに認められたESG基準の進展をサポートすることも極めて重要です。これらの推奨指標の報告を奨励することで、投資家は各自のポートフォリオのためにより信頼性の高いESG情報を得るという恩恵を手に入れることができるのです。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
過去記事はこちら>>