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米ゲームソフト最大手アクティビジョン・ブリザードは3日、子会社ブリザード・エンターテインメントの社長の退任を発表した。アクティビジョンでは女性社員に対するセクハラが10年以上にわたって横行していたとされ、この幹部もその事実を知っていたとみられている。発表を受けて同社の株価はさらに下落した。

退任するのは勤続16年のベテランであるJ・アレン・ブラック社長。アクティビジョンは退任に関して、ブラックは「新たな機会を追求する」ことになったと説明し、職場のセクハラ問題については言及しなかった。

「コール・オブ・デューティー」や「ワールド・オブ・ウォークラフト」といった人気ゲームを手がける同社は先月20日、幹部らが職場に広がる「フラットボーイ(友愛会男子)」カルチャーに浸かり、それを通じて女性に対するハラスメントや差別を助長していたとして、本社があるカリフォルニア州の当局から訴訟を起こされていた。

アクティビジョン側は当初、当局側の主張は「自社の過去についての歪んだ、多くの場合、誤った説明」になっていると反論していたが、先週にはそれに抗議して社員1500人あまりが仕事を拒否。さらに大勢の社員が、経営陣は「自分たちがこれまで続けてきた業界内外での平等に向けた取り組みを損なった」と批判する手紙に署名し、会社側に対してハラスメント被害者への思いやりを示すよう求めていた。

アクティビジョンの株価は3日、前日比5%強下落した。訴訟を起こされて以降の下げ幅は15%近くに達しており、100億ドル(約1兆900億円)を超える時価総額が吹き飛んだ。足元の時価総額は610億ドル(約6兆7000億円)ほどとなっている。

米国では2017年に発覚した映画プロデューサーのハーベイ・ワインスタイン被告によるセクハラやレイプ疑惑をきっかけに、セクハラ被害を訴える「#MeToo」運動が始まった。運動はすぐにハリウッドで盛んになり、シリコンバレーなどほかの業界や米軍、外国にも広がった。ただ、男性が長年支配してきたゲーム業界は変革が遅いと指摘されていた。

ゲーム業界の研究などを専門とする米イリノイ工科大学のカーリー・コツレク准教授は、アクティビジョン社員による抗議について「社員を大切にしない企業、女性やジェンダーマイノリティーが疎外され不当な扱いを受ける不公平な職場環境をつくり出している企業に対して、真の説明責任を求めるものかもしれない」とニューヨーク・タイムズにコメントしている。

編集=江戸伸禎

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