香港市場に上場するテンセントの株価は、8月3日の国営メディアの記事を受けて一時11%の急落となり、その後はやや値を戻したものの6%安で引けた。当日の国営新華社通信系の国営紙の経済参考報はゲームが「精神的アヘン」や「電子ドラッグ」であると批判した。この記事はその後、ウェブサイトからは削除されたが、プリント版は残っている。
記事では、テンセントの人気ゲーム「王者栄耀(オナー・オブ・キングス)」を1日8時間もプレイする学生が居ると報じられ、「世代のすべての人々を破滅させて発展する産業やスポーツはない」との批判が盛り込まれていた。
テンセントの広報担当者はコメントを拒否した。同じく香港市場に上場するゲーム大手NetEaseの株価も一時16%の急落となり、8%安で引けたが、同社もコメント要請に応じていない。NetEaseの創業者のWilliam Lei Dingの保有資産は23億ドルの減少となり、テンセントのもう一人の共同創業者のZhang Zhidongも11億ドルを失った。
シンガポールに拠点を置くDZTリサーチの担当者は、今回の株価の急落は、当局がゲーム会社に強硬な措置を取ることに対する投資家の懸念の高まりを反映していると述べている。
「新華社の社説の文言は非常にネガティブであり、市場は今後の規制を警戒し、非常に神経質になっている」とDZRは分析している。
テンセントはその後、WeChatの公式アカウントで未成年者を保護するための取り組みを発表した。それによると同社は、未成年のゲームユーザーの平日の最大プレイ時間を従来の1.5時間から1時間に短縮し、小学生がゲーム内でアイテムを購入することを禁止する。さらに、未成年者が成人のゲームアカウントを使用することを防ぐため、これまでよりも厳格な措置を導入した。
しかし、DZTによると、未成年者による購入が中国のモバイルゲームの売上に占める割合は、15%未満に過ぎないという。
中国は他の産業に対しても、予想外の厳しい規制をかけている。例えば先週、中国当局は、かつて急成長した学習支援サービス企業が週末や長期休暇中に授業を提供することを禁止し、Gaotu TecheduやNew Oriental Educationなどの米国で上場している大手は、事業主体を非営利団体に変えざるを得なくなった。また、政府は反トラスト(独占禁止)の取り締まりを強化しており、7月下旬にはテンセントに音楽レーベルの独占権を手放すことを命じ、50万元(約7万7000ドル)の罰金支払いを求めた。