ビジネス

2015.05.20

大企業がスタートアップに学ぶべきこと

Rawpixel / Bigstock



企業やチームにイノベーションの種を植えるIDEOのミッション。
大企業やベンチャー、教育機関。規模や分野を横断するその活動を取材して、新しい時代にふさわしいアイデアや価値を生むチームの姿が見えてきた。


◼︎大企業が陥りがちな5つの傾向

Idea
生まれたてのアイデアを否定する

大企業にありがちなのが、せっかく生まれたアイデアを、既存事例やリスクリストによって、会議やデスク上で棄却してしまう傾向。生まれたての赤ん坊を「未熟だ」と切り捨てるだろうか?

Support
上下関係が厳しく、風通しが悪い

イノベーションを生み出すためには、ボトムアップ型のアイデアに、トップダウン型のサポートが必要となる。社内の風通しをよくし、新しいアイデアを経営トップと共有し、最適なサポートを受けられる環境を整えることが重要。

Point of View
データを偏重しすぎる

市場調査の際に、分母の大きさや、大多数の意見など「マス」の数字を重視し、埋もれている市場のニーズを見逃してしまう。新しいテクノロジーや、サービスを求めているのは「多数」ではなく一人の「人間」である。

Ambiguity
「不確実性」への恐怖

プロジェクトを始める段階で「落としどころ」を探してしまいがち。プロジェクトはまだ見ぬ答えを探すためのものであり、仮説の答えに対する方程式をつくる考え方では、イノベーションを生み出せない。

Collaboration
社内の「協働」の不足

十分なリサーチをしないまま、新規事業に具体的な収益を期待しがち。新規事業の立ち上げ後は、コアビジネスのチームとのコラボレーションを推進し、既存顧客とのネットワークを利用した、現実的なリサーチが必要となる。

◼︎ベンチャー方式からココを盗め!

Prototyping
プロトタイプ(試作品)をつくる

プロジェクトの過程において、実際に試作品をつくることで、顧客のフィードバックが得られ、インサイト(洞察)を深めることができる。さらに、テクノロジーや市場の変化に対応し、逐次アップデートができる。

Feedback
コンセプトを多数つくり、フィードバックを得る

1つのコンセプトに絞って、半年かけてそれを完璧な商品に仕上げるスピード感では、市場に乗り遅れる。10あまりのコンセプトを立て、プロジェクトの過程で顧客からフィードバックを得つつ、市場機会を探る。

Network
社外ネットワークを構築する

社内にリソースが限られたベンチャー企業が行っているように、プロジェクトチームを顧客やサプライヤー、パートナーなど社外の広範囲なネットワークでつなぐことにより、本質的な「ニーズ」を把握する。

Limited Resources
エキスパートを集め、リソースに飢えさせる

企業内の様々な部署のエキスパートを一同に集め、厳しいデッドラインと予算のもとで仕事をさせる。開発商品やサービスは1年以内にローンチさせる。限られた環境の中で相互に刺激し合うことで、新しいアイデアが生まれる。

Motivation
メンバーの“起業家精神”を育てる

プロジェクトチームのスタートアップ精神と“自分たちごと”の意識を伸ばす。企業の規模にかかわらずモチベーションが生まれるのは、「世の中をよくすること」に関わっていると思う時であり、「株主に利する」ことではない。

フォーブス ジャパン編集部 = 文

この記事は 「Forbes JAPAN No.11 2015年6月号(2015/04/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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