企業やチームにイノベーションの種を植えるIDEOのミッション。
大企業やベンチャー、教育機関。規模や分野を横断するその活動を取材して、新しい時代にふさわしいアイデアや価値を生むチームの姿が見えてきた。
◼︎大企業が陥りがちな5つの傾向
Idea
生まれたてのアイデアを否定する
大企業にありがちなのが、せっかく生まれたアイデアを、既存事例やリスクリストによって、会議やデスク上で棄却してしまう傾向。生まれたての赤ん坊を「未熟だ」と切り捨てるだろうか?
Support
上下関係が厳しく、風通しが悪い
イノベーションを生み出すためには、ボトムアップ型のアイデアに、トップダウン型のサポートが必要となる。社内の風通しをよくし、新しいアイデアを経営トップと共有し、最適なサポートを受けられる環境を整えることが重要。
Point of View
データを偏重しすぎる
市場調査の際に、分母の大きさや、大多数の意見など「マス」の数字を重視し、埋もれている市場のニーズを見逃してしまう。新しいテクノロジーや、サービスを求めているのは「多数」ではなく一人の「人間」である。
Ambiguity
「不確実性」への恐怖
プロジェクトを始める段階で「落としどころ」を探してしまいがち。プロジェクトはまだ見ぬ答えを探すためのものであり、仮説の答えに対する方程式をつくる考え方では、イノベーションを生み出せない。
Collaboration
社内の「協働」の不足
十分なリサーチをしないまま、新規事業に具体的な収益を期待しがち。新規事業の立ち上げ後は、コアビジネスのチームとのコラボレーションを推進し、既存顧客とのネットワークを利用した、現実的なリサーチが必要となる。
◼︎ベンチャー方式からココを盗め!
Prototyping
プロトタイプ(試作品)をつくる
プロジェクトの過程において、実際に試作品をつくることで、顧客のフィードバックが得られ、インサイト(洞察)を深めることができる。さらに、テクノロジーや市場の変化に対応し、逐次アップデートができる。
Feedback
コンセプトを多数つくり、フィードバックを得る
1つのコンセプトに絞って、半年かけてそれを完璧な商品に仕上げるスピード感では、市場に乗り遅れる。10あまりのコンセプトを立て、プロジェクトの過程で顧客からフィードバックを得つつ、市場機会を探る。
Network
社外ネットワークを構築する
社内にリソースが限られたベンチャー企業が行っているように、プロジェクトチームを顧客やサプライヤー、パートナーなど社外の広範囲なネットワークでつなぐことにより、本質的な「ニーズ」を把握する。
Limited Resources
エキスパートを集め、リソースに飢えさせる
企業内の様々な部署のエキスパートを一同に集め、厳しいデッドラインと予算のもとで仕事をさせる。開発商品やサービスは1年以内にローンチさせる。限られた環境の中で相互に刺激し合うことで、新しいアイデアが生まれる。
Motivation
メンバーの“起業家精神”を育てる
プロジェクトチームのスタートアップ精神と“自分たちごと”の意識を伸ばす。企業の規模にかかわらずモチベーションが生まれるのは、「世の中をよくすること」に関わっていると思う時であり、「株主に利する」ことではない。