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2021.08.04

ウォルマートがアドビとの提携で進める、自社機能の収益化と他社のDX

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自社独自のIT技術と機能の開発・テスト・規模拡大に成功したウォルマートは、その自社ツールをより広範に共有する準備を整えている。共有が進めば、最近の同社の成功を後押ししてきたオンライン購入、店舗ピックアップ、モバイルチェックインなどの技術と効率を、中小の小売事業者も利用できるようになる。

ウォルマートはこの取り組みの一環としてアドビと戦略的提携を結び、「ウォルマート・マーケットプレイス」や、オンラインと実店舗のフルフィルメントおよびピックアップ技術を、「アドビ・コマース(Adobe Commerce)」と統合させると発表した。

アドビ・コマースのプラットフォームを利用する事業者は、ウォルマート・グローバル・テックが提供する技術を利用できるようになる。これにより、世界最大の小売企業が使用しているものと同じツールが、数多くの中小規模の小売事業者に提供されることになる。

小売事業者やブランドは、アドビ・コマースのプラットフォームを通じて、ウォルマート独自のクラウドベースのサービスを利用し、それぞれの顧客に対してピックアップや配送をシームレスに提供できるようになる。また、急成長中のウォルマート・マーケットプレイスで新規顧客を開拓することもできる。

マーケットプレイスでは、ウォルマートのフルフィルメントサービスを活用し、米国内どこでも2日以内の配送サービスを提供すると同時に、顧客体験と業務効率を向上させることが可能だ。

自社開発した機能の収益化


これらの機能を市場に売り出す前に、ウォルマートはテストを実施し、規模の拡大に取り組んできた。オンライン購入や店舗ピックアップなどの一部の機能は10年前から使われてきたものだ。独自の配送機能も拡充させてきた。デジタルとリアルが統合された店舗ピックアップなどの「オムニ体験」が消費者の人気を得ている現在、ウォルマートは自社以外の小売事業者に支援の手を差し伸べ、そこから利益を得ようとしている。

ウォルマートは、自社開発した機能の収益化を進めることで、これまでとは違う収入源を生み出しつつある。これは、ダグ・マクミランCEOが過去に語っていた、新たな“フライホイールモデル”の一環だ。新たな利益プールを創出すれば、価格や顧客体験を向上させる再投資が可能になる。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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