米10人に一人がオリンピックに賭ける
アメリカギャンブル協会の開催前の報告によると、アメリカの成人10名のうち1名が東京オリンピック開催中に何かしらのイベントに賭けるという予測があった。これは、アメリカで最も賭け金の高いイベントであるスーパーボウルに賭ける人々とほぼ同数が賭けに参加する計算となる。しかし、多くのアメリカ人がオリンピックの賭けに参加するとも、大金を手にすることを期待しているとも思えないという点で、ブックメーカーとギャンブラーの考えは一致している。
「私たちはオリンピックを当てにしていません」と、ラスベガスのランパートカジノで競馬&スポーツマネージャーを務めるデュエン・カルーチ氏は語る。「ヤンキース対レッドソックスの1試合だけで、オリンピック全体をしのぐ金が動きますからね」。
ラスベガスのスポーツ賭博ディレクターいわく、オリンピックは、ギャンブルの機会として新参だ。たとえば、ネバダ州では2016年までオリンピックに賭けることは合法ではなかったし、スポーツ賭博自体もネバダ州以外は2018年まで連邦法上で非合法だった。このため、オリンピックへの関心はまだ比較的低い状態だ。
8月3日に行われたカヌースプリント。手前の選手はドイツのセバスティアン・ブレンデルとティム・ヘッカー。(Getty Images)
カルーチ氏は、オリンピックに賭けている人たちの多くはアマチュアか、「遊び半分のギャンブラー」だと指摘する。
いまはアメフトの準備期間
ウエストゲート・ラスベガス・スーパブックのディレクターであるジョン・マレー氏も、オリンピックは取るに足らないとしている。
「この時期は、スタッフに休暇を取るように勧めています」とマレー氏。「7月ですし、私たちの業界の人間ならベガスを出てリフレッシュし、アメリカンフットボールのシーズンに備えるのにちょうど良いタイミングです」。
アメリカンフットボールのような人気スポーツに対する反応は、オリンピックとは比べものにならない。月曜日の午後、ある男がウエストゲートに立ち寄って、3万ドルをアラバマ大学のフットボールチームのナショナルチャンピオンシップ優勝に賭けた。
「オリンピックでは、こんな金額を手にすることはできません。でも、カレッジフットボール、プロフットボール、カレッジバスケットボールならよくあることです」とマレー氏は語る。
同じ日の午後のウエストゲートには、リリー・キングに100ドルを賭けた人がいた。リリー・キングはアメリカの競泳女子代表チームの一員で、2015年から負け知らずだ。彼女が200メートル平泳ぎで優勝するほうに12倍のオッズで賭けたのである。
「こんなことは我々の収益にとっては取るに足らないものですよ」とマレー氏。「もしこの賭けに誰かが勝っても、別に気にも留めません。7月と8月の業績を決定付けるようなものでもありません」。