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ごくまれではあるものの、接種後に血栓症を発症した人がいると報じられ、多くの国が使用を控える動きをみせてきた英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンについて、新たな研究結果が7月27日、医学誌ランセットに発表された。

公表されたデータによると、アストラゼネカ製ワクチンに必要とされる2度目の接種により、これまでに報告されている「血小板減少を伴う血栓症(TTS)」の発生リスクが高まることはないという。

アストラゼネカのグローバル安全性データベースに基づき、2021年4月25日までに2回目の接種を受けた562万人について調べたところ、接種から14日以内にTTSの発生が報告されたのは、100万人あたり2.3人だった。

この推定発生率は、新型コロナウイルスのワクチンの接種を受けていない人たちの間でもほぼ同じレベルとなっている。パンデミック発生前の一般的なTTS発生率と同程度であると確認されたことは、2回目の接種を受けた人たちの間で発症リスクが高まるわけではないことを示している。

初期に同社のワクチン接種を受けた4900万人以上のうち、接種から14日以内にTTSを発症したのは、399人。1回目の接種でのTTS発生率は、100万人あたり8.1人だった。

アストラゼネカのバイオ医薬品研究開発部門のエグゼクティブバイスプレジデント、メネ・パンガロス博士は新たに発表された調査結果について、最初の接種後にTTSが発症しなかった場合には、予定どおり2回目の接種を受けることを「支持するものだ」と述べている。

問題続きだった「救いの手」


アストラゼネカ製ワクチンについてこれまでに行われた研究結果は一貫して、このワクチンが新型コロナウイルス(変異したデルタ株を含む)に感染した場合の入院と重症化、死亡を防ぐことに非常に有効であることを示している。

だが、オックスフォード大学と共同で、安全で安価、かつ効果のあるワクチンを迅速に開発し、製造にこぎ着けたにもかかわらず、同社のワクチンは数々の問題に見舞われてきた。

そのため、米ファイザーとモデルナが開発した高価で管理が難しい「mRNAワクチン」よりも実用的で、当初は「世界を救うものになる」ともいわれたこのワクチンは、他社のワクチンを購入する余裕がある裕福な国からも、ワクチンをまったく入手できていなかった貧困国からも、同様に敬遠されてきた。

ごくまれに発生する血栓についての懸念のほか、臨床試験のデータに関する問題が指摘されたことや、情報発信における失敗、契約どおりに納品ができなかったことなど、これまでに起きたあらゆることが、このワクチンの世界的な評判を傷つけてきた。

欧州医薬品庁(EMA)は血栓が発症するリスクについて、「新型コロナウイルスに感染するリスクを大幅に下回る」と強調してきたものの、多くの国はアストラゼネカ製ワクチンの接種対象を、低リスクのグループに限定している。

一方、パンガロス博士はこのワクチンについて、「パンデミックとの戦いにおいても重要な役割を果たす」ものだと説明している。

編集=木内涼子

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