ビジネス

2021.08.03

家具のサブスク「最新版三方よし」で革命を起こす


:投資にあたり、事業の具体的なところまで二人で徹底的に話をしました。世界中の家具のオンラインビジネスは大きくなっているにもかかわらず、日本は目立つプレイヤーがいない。家具は趣味嗜好品なので、日本でもトレンドが必ず来る。楽天市場での経験やノウハウ、ネットワークをフルに使って伴走ができればと思いました。

町野:事業の立ち上げをすると「自分がいちばんプロダクトに詳しく」なる。その半面、意外と周りが見えなくなるんです。そうしたときに「本当のターゲットは?」「こうした状況下で、お客さんはどうなっていきますか」と事業視点での本質の質問はとても重要でした。

:私が起業家と話をするなかで、気にしているのは、大きい市場を目指して、ニーズの有無やもうかるかではなく、「何がしたいか」というのが明確かどうか。Z Venture Capitalでは、起業家にコーチングプログラムを提供しています。私も町野さんにコーチングを通して「本当は何をやりたいんですか」と問いかけていると、家具業界を変革し爪痕を残すという大きなゴールがある。「How to」ではなく「Want to」がしっかりしています。町野さんは挑戦するマインドをもつ起業家です。

町野:私たちは「家の中を、世界一、豊かな国へ。」というビジョンを掲げています。家やオフィスの中に、いい家具を置くと、家族や社員も幸せになり、豊かになる。そういう世界観をつくりたい。

そのためには、私たちだけが大きくなっても面白くない。家具メーカーさんを仲間にしていきながら一緒に成長していきたいと思っています。利用者もいいものを安く使いはじめられる。そして、いい家具をつくるメーカーにも継続的にお金が入ってきたら、みんなが幸せになるじゃないですか。これは僕自身の信条である「革命」だと思っていて、3〜5年かけて行いたいと思っています。

:三方よしの「輪」を大きくしていけば、みんながもうかる仕組みになる。その初心を忘れずに、これからも家具業界に一石を投じ続けてほしいですね。


どー・ほーぎる◎Z Venture Capital取締役COO兼パートナー。2010年4月に楽天に入社。楽天ベンチャーズ・パートナーを経て、20年2月より現職。主な投資先は、フロムスクラッチ、Zeals、アソビュー、BASE FOOD、OKANなど。

まちの・けん◎subsclife代表取締役社長。日本ヒューレット・パッカード、マクロミルを経て、グライダーアソシエイツを創業。15年5月にKAMARQ HOLDINGSに共同創業者として参画。16年にカマルクジャパン(現subsclife)を設立した。

文=山本智之 写真=平岩 享

この記事は 「Forbes JAPAN No.082 2021年6月号(2021/4/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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私がこの起業家に投資した理由

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