ビジネス

2021.08.06

70兆円規模の「App Store経済圏」 その実情と展望とは

デジタル経済の拡大がモバイルアプリを取り巻く開発事業者に与える影響を取材した。


アップルのプラットフォーム上でビジネスを展開する、日本のアプリデベロッパにも話を聞く機会を得た。

Whatever(ホワットエバー)は、「らくがきAR」アプリを2020年8月にリリースしたクリエイティブスタジオだ。らくがきARは、紙の上にフリーハンドで描いた“らくがき”をiPhoneのカメラで取り込み、デジタルキャラクターに変換して活き活きと動かせるユニークなアプリ。同社とアプリは、アップルの年次開発者会議(WWDC)に合わせて発表される「Apple Design Award」の2021年ファイナリストとしても名を刻んだ。


「らくがきAR」アプリはApp Storeで2020年8月1日に配信を開始した直後5日間で46万ダウンロードを達成

Whateverはアプリ開発のみならず、クライアントのために様々なマーケティングやプロモーションツールを提案し、開発も行うスペシャリストだ。プロデューサーの関 賢一氏は「らくがきARは、コロナ禍のなか自宅で過ごす時間が増えた方に気軽に楽しんでもらえるアプリを作ったところ、思わぬヒットを遂げたのだ」と打ち明ける。

関氏は同社が掲げるビジネスのモットーは、クライアントの要望に答えながらベストな成果を達成できるようにソリューションも積極的に提案するところにあると強調する。しかしこの頃は、「結果的にアプリが最適解となる」ケースが増加。結果として、アプリを含めたビジネスを提案できることの重要性が増していると関氏は感じているという。


Whatever プロデューサーの関賢一氏

関氏はまた、アップルが提供するプラットフォームは、iPhoneをはじめとするデバイスとソフトウェアが優れた互換性を備えているため、アプリの開発がとてもスムーズに進められるのだと話す。

さらに、アップルのデバイスは機種や世代に依存する差が少ないことから、アプリのリリース後に求められる管理・保守、サポート業務の負担が減らせるところも同社には大きなメリットになっているようだ。
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文=山本 敦

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