3. ワクチンはデルタ株にどれだけ有効?
従来株に対する有効性に比べると、わずかに低下してはいるワクチンもある。だが、それでも米国で緊急使用を認められているワクチン(3種類)はすべて、デルタ株に対する高い有効性を保っている。接種を完了していれば、その後にデルタ株に感染しても、重症化して入院したり、死亡したりする危険性ははるかに低くなる。
7月21日に発表された研究結果によると、米ファイザーとドイツのビオンテックが共同開発したワクチンの接種完了後の有効性は、アルファ株(英国で確認)に対して93.7%、デルタ株(インドで確認)に対して88%だった。ただし、接種が1回終了した時点での有効性は、デルタ株に対しては大幅に低下していた。
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一方、イスラエルで行われた調査結果など、一部のデータによれば、デルタ株に対するファイザー製ワクチンの(接種完了後の)有効性は64%に低下したとされており、結果にはばらつきもみられている。
また、米モデルナ製のワクチンについては、1回目の接種でもデルタ株への有効性は72%との結果が発表されているが、これについてはより多くの研究が必要だと指摘されている。
一部の国では、異なるワクチンを「組み合わせて」接種することがワクチンの効果を高める可能性があるとも指摘されている。韓国で先ごろ発表された研究結果では、英アストラゼネカ製のワクチンを接種した後、2回目にファイザー製を接種した場合、2回ともアストラゼネカ製を接種した場合より多くの抗体が産生されていたことが確認されたという。
公衆衛生当局が今後、デルタ株への対応としてこうした接種方法を推奨するかどうかについては、今のところ不明だ。
4. 「ブースターショット」は必要?
ワクチンの種類によっては、それも考えられる。自社のワクチンに関する分析を継続しているファイザーによれば、時間の経過とともに有効性が薄れていくことが示されており、そのためブースターショット(追加接種)が必要になる可能性があるという。
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同社の広報担当者は、可能な限り高い有効性を維持するためのブースターショットについて、研究を行っていると説明。さらに、今後の研究によって「追加」ではデルタ株には有効ではないことが明らかになった場合、この変異株に合わせたテイラーメイドのワクチンを100日程度で開発し、製造することができる見通しだと述べている。
米ジョンソン・エンド・ジョンソン(デルタ株に対しては有効性が下がるとの調査結果もある)、モデルナについては、ブースターショットの必要性について判断するだけの十分なデータが得られていない。