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ベルリン在住のビジュアルアーティスト 平野正子

コロナパンデミック以降も海外と日本を往来し、活躍の幅を広げる若きビジュアルアーティスト、平野正子。

企業広告を手がける一方で、コムアイなど同年代のミュージシャンとの仕事をしながら、個人のアーティストとしても創作活動を続ける。最近では、水原希子が企画・主演を務めるAmazon Prime番組「キコキカク」のオープニングムービーを手がけ、そのビジュアルが話題に。

東京のカルチャーシーンに接続する彼女が、2019年に新天地にベルリンを選び、パンデミック以降も軽やかに日本との往来生活を続ける背景とは──。同年代のアーティストから信頼を集めるU30のビジュアルアーティストの現在地とルーツに、ベルリン在住のライターが迫る。


コロナ禍を機に3DCG表現に挑むまで


──フリーのアートディレクター/グラフィックデザイナーとして活動して5年目ですが、キャリアはどのようにスタートしましたか。

2016年に多摩美(多摩美術大学)のグラフィックデザイン科を卒業した直後から、アルバイトと並行しながら、フリーランスのグラフィックデザイナーとして活動していました。

17年に村田実莉との二人組のアートユニット『Skydiving magazine』でコムアイちゃんなどを被写体として起用した個展を「CALM & PUNK GALLERY」でやらせてもらって。それをきっかけに、彼女の音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」のキービジュアルを作らせてもらったんです。それから、渋谷パルコの「シブカル祭」のポスターを作ったり、18年には「TOKYO CULTUART by BEAMS」で個展をしたり、自分の表現を発表する機会をいただきました。

──広告案件もその頃から?

展示を重ねるにつれてだんだん増えてきた感じですね。キャンペーンビジュアルとして「ZUCCA」や「リーボック」の広告仕事をアートディレクション・撮影・グラフィックデザイン全てをディレクションさせてもらうことになって。2017年にはフリーランス1本で食べていけるようになりましたし、広告仕事にも携わるうちに、商業的な広告にも対応できるアーティストだと認識されるようになっていきました。

──当時どんなモチーフで作品を作られていたのでしょうか。

個人にしろ広告案件にしろ、基本的には自分のアイデアをビジュアル面で具現化していくイメージです。当時は、ビジュアルを作る上で自分で人物写真も撮っていました。SNSに限らず道端や電車で見かけた人から車まで、モデル事務所や小道具などプロップのリースを介さず探してきたり、オブジェクト自体を制作することまでやってましたね。

──当時から変わらず、全体のディレクションを手がけてたんですね。一貫して、ポップさとキッチュさが入り交ざったように見受けられる作品群。表現のルーツはどこにありますか。

日本の地方に住んでいた中高時代に実家でひたすら本や映画、音楽に触れてきたところにあると思います。あと自分自身がずっとうつを患ってきたことから、その時の悲しい気持ちで取り込んだものがベースにあって。だから表現したいものは、ポップなものでも影を落としたいみたいなところはずっとあるかもしれない。

幼少期に親の仕事の関係でタイに10年間住んでいたのもあって、「なんでこうなったんだよ」みたいな表現、思いつきもしない発想とかを見ると笑ってしまう。でも、明るさも暗さもどっちかしかない表現は自分の制作においてはあまりしないですね。ユーモアのある表現で楽しんでもらいたいというサービス精神と自分の内省的な気持ちの混在というのが、自分の表現につながっていると思います。

文=冨手公嘉 写真提供=平野正子

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