ビジネス

2021.08.01

米ウォルマート、医療分野での存在感を急速に拡大

Joe Raedle/Getty Images


ウォルマートは医療サービスの取り組みに加え、患者にエンドツーエンドの治療を提供することに努めている。医師らは長年、ウォルマートの有名な「4ドル処方箋リスト」(30日分の処方箋が4ドル/約440円から購入できるジェネリック医薬品のプログラム)を患者に紹介していた。

このリストは患者に、手の届く価格でジェネリックな処方箋を購入する機会を提供する。こうしたプログラムは、医薬品の価格と消費者にとっての医療コストが増加を続ける時代には極めて重要だ。

ウォルマートは先月、製薬分野でまた革命的な一歩を踏み出した。同社は史上初となる、プライベートブランドのインスリンアナログ製剤の発売を発表したのだ。

インスリン治療の価格上昇は長年、主流メディアで議論されてきた問題だ。同社ウェブサイトは次のように述べている。

「ウォルマートのプライベートブランドであるリライオン(ReliOn)を通してのみ入手できる新たな商品には、インスリンアナログ製剤のバイアル(72.88ドル/約8000円)とフレックスペン(85.88ドル/約9400円)がある。

こうした商品により、顧客は商標がついたインスリンアナログ製剤商品と比べて現金価格で58~75%節約できる。これは商標がついたバイアル(薬瓶)1つにつき101ドル(約1万1000円)、商標がついたフレックスペン1箱につき251ドル(約2万7000円)の節約に値する」

ピーガス博士は「私たちは、糖尿病を抱える人の多くが病気による経済的負担に苦しんでいることを知っている。ウォルマートは手頃な解決策を提供し、こうした人の支援を目指している」と説明している。

「またこの病気は、十分な支援が行き届かない人たちに特に大きな影響を与えていることも当社は承知している。ウォルマートはリライオンのノボログ(NovoLog)のインスリンを通し、既に手頃なリライオンの製品ラインに糖尿病のための高品質な医薬品を追加し、医薬品のアクセス改善と医療コスト低減のための取り組みを継続している」(ピーガス)

これは実に、革新的な取り組みになるかもしれない。

医療制度は間違いなく、イノベーションと破壊の機が熟した分野だ。ウォルマートは多くのリソースの活用可能性や確立された市場範囲、知名度、小売業界での専門知識により、医療産業で今後何世代にもわたり圧倒的な存在となる可能性がある。

(本稿の内容は情報提供と報道のみを目的としたもので、医学的助言については訓練を受けた医療専門家に相談すること)

翻訳・編集=出田静

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